速度差50km以下で衝突回避が可能に

また、大型車用のPCSは乗用車のものとは開発の考え方が基本的に異なる。乗用車の場合は、一般道での物損、人 身事故を抑止するという観点から開発が行われているため、比較的近くにある障害物を認識することに開発の主眼 が置かれている。それに対し、大型車の場合はより遠くにあるものを精度よく検出することに主眼が置かれている 。

中央にある黒く四角い部分がミリ波レーダーの装置。

日野のPCSでは、「アイサイト」のようなカメラではなく、ミリ波レーダーを使って障害物を検出している。その 長所は電波なので霧の中や降雨・降雪時においても検出可能で、遠くまで認識できること。一方、短所は障害物が 何かわからず、人を認識できないことだ。

「今回のPCSは3世代目で、2世代目ものに比べて大きく進化した」と前出の研究者。従来のPCSはミリ波レーダーで 障害物を検出し、衝突の危険性が高まるとドライバーに警報。この警報に対しトライバーが事故回避操作をしない 場合に、システムが自動的にブレーキをかけて速度を落とすことで衝突被害を軽減する仕組みだった。

それが今回新開発したPCSでは、「従来の機能に加えて衝突回避機能を追加した。高速道路上で起こる渋滞中の低 速走行車両に対して速度差時速50km以下、例えば先行車が30kmで走っていて後続のトラック・バスが80kmなら衝突 を回避できるようになった」という。ただ、先行車が停止しているときは、衝突回避をできないことがあるそうだ 。