イノーバ 幸村潮菜
1974年生まれ。大学卒業後、NOVAを経て、楽天入社。同社営業統括部部長などを経て、2013年イノーバ入社。現在、同社COO(共同経営者)。

このオフィスに入ってすぐの壁に、額縁がかけてあるのを見ていただけましたか?

「攻撃を一点に集約せよ 無駄なことはするな」

そう書いてあるのですが、これ、私の好きな織田信長の言葉なんです。社長の宗像(淳)さんのお父様の知人に達筆の方がいて、頼んで書いてもらったんですよ。

私はこれまで上場して間もないNOVAや楽天などにいたのですが、そこでは「倒れるなら前に倒れろ」とばかりに働いてきたという実感があるんです。いま3歳の子どもがいるんですが、その子が産まれる直前も会社にいました。当時は楽天で働いていて、深夜のオフィスで破水したんです。楽天では今でも伝説になっているみたいです(笑)。

変わっていると思われるかもしれませんが、とにかくハードワークしている状態が好きで、まずは優秀な人たちと一緒に働きたいし、懸命に努力するからこそ面白い、といつも考えてきました。何より事業っていうのは、優秀な人たちが集団でハードワークをするからこそ、競争を勝ち上がっていけるわけですから。

もちろんそのためには、この会社が優秀な人材にとって魅力的な場所でなきゃいけないのは言うまでもありません。いま現在のイノーバの社員は、ほとんどが誰かの知人やその紹介で、私と同じ楽天出身者も多い。でも、これから人を増やしていくに当たっては、やっぱり実績をつくっていかなければならないし、宗像さんや共同経営者である私自身を磨いていかなければならないでしょうね。

イノーバは共同経営者の私が39歳で宗像さんは38歳。それからCFOは38歳で、彼は新卒でオンザエッジ(後のライブドア)に入って、DeNAやインフォテリアなどのベンチャーの経営企画や管理部を渡り歩いた人物です。経営層は30代後半の人たちが中心に構成されているまさに大人のベンチャーなんです。

私たちの世代が社会に出た20代の頃って、まだグリーやDeNAも知られていなかったし、楽天でさえ100~200人規模の会社でした。なので、その時代にそうした会社で働いていた人たちの中には、40代が近づいて来るという今のタイミングで、もう一度スタートアップのあの熱気の渦中で働きたいと思っている人が多いんです。

でも、かつてそれこそ楽天のような企業を経験して、培ったノウハウを再び発揮したいとうずうずしていても、さすがに彼らも社長が20代の会社に飛び込むとなると抵抗がある。だから、私はここをベンチャー志向のある30代後半くらいの人材の受け皿にできたらいいな、と考えているんです。