「飲みにくい」だけで、臨床試験は失敗する

これは、我々の開発に対しても同じことが言えます。自分たちの新薬候補だから成功するに違いないと信じていますが、保障はありません。FDAが認可するまでは海のものとも山のものともわからないのです。ただ、我々が臨床開発している新薬候補の化合物はアンメットメディカルニーズに応えるものであり、 FDAにより優先開発品目としてファストトラックに認定されています。我々は最大限の努力をして臨床開発を続けるのみなのです。

我々に求められるのは、一つひとつきっちりと、やるべきことをやっていくこと。オペレーショナルエクセレンスをどうやって保つか、Quality AssuranceとQuality Controlをいかに徹底していくかが重要です。我々は欧米の病院と連携して臨床試験を行っており、医療施設に絶えず我々のスタッフがコミュニケーションをとっています。カルテに書き損じがないか、データはきちっとエントリーされているか、検査漏れはないか、患者さんが予定通りに通院しているか、患者さんが薬を飲んでくれているか、不具合は生じていないかどうかなどを毎日モニターしてやっていきます。

例えば、高齢者向けの飲むタイプの新薬を開発する場合、錠剤が大きすぎたりすると高齢者の方は飲み込むのが困難になることがあります。この困難を取り除くために、小さいけれどつかみやすい錠剤のデザインにするなどの対策を講じることも必要になります。パッケージのアルミ箔が硬すぎて力の弱い高齢者には錠剤を押し出しにくいという点が問題になることもあります。これらのちょっとした理由で患者が服用をやめてしまうことがあり、臨床試験が失敗に終わってしまうからです。

このように、薬剤の効果、毒性や認容性以外にも、例を挙げればきりがないほど開発に失敗してしまう落とし穴はいくらでもあります。細かいことを絶えず改善していくことが服薬率の向上につながる。わずかなことを見落とさず、日々改良していくプロセスがいかに重要であるか、おわかりいただけるのではないでしょうか 。