ビットコインは貸借対照表の流動資産に、また運用損益に関しては、ビットコインの取引が経常的にあるのなら損益計算書の営業外収益または営業外費用になるのか……。このあたりは明確な会計ルールがないので、解釈が分かれるところだ。

そして、政府の答弁書で課税対象になることが明らかになったわけだが、ビットコインを使用して商品を売買した場合には消費税が、運用益には法人税がかかる可能性がある。個人が値上がり期待でビットコインを購入し、実際に値上がり益が発生すれば、その売却益に対して所得税が課せられるだろう。

ビットコインはお金ではないというのなら、一体何なのか。私は、現状では「ビットコインはビットコインでしかない」と考えている。つまるところ、いまは信用性も法的根拠もなく、一部の人たちが「ビットコインは貨幣だ」と勝手に主張して流通させている状況なのだ。

もしも、上場企業などで監査先の財務諸表にビットコインの取引が含まれていたら、今後、監査法人はどのように対応するのだろう。まず、貨幣ではない以上、何か別の金融資産と見なすのであろうか。

しかし、法整備されていないモノを資産として、その価値を決算日時点で正しく評価することは難しい。仮に時価で評価するにしても、そのよりどころとなるデータは何か、検証方法をどうするかといった実務上の課題がいくつも出てくる。また、現状でビットコインを多額に保有しているということ自体に、内部統制上の問題はないかなど、つまりコンプライアンス面での注意も必要と思われる。

もっとも、ビットコインがこれほど急速に拡大したのはニーズがあるからなのだろう。将来的には法整備が進み、発展していくと考えられる。利用するのは、それからでも遅くない。

(構成=高橋晴美 図版作成=ライヴ・アート)
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