日本企業による海外企業への投資が増えている。JASDAQ市場に上場し、今年で創業67年目を迎える老舗の米菓子メーカーの岩塚製菓(新潟県長岡市)も、そうした企業の一つだ。中国・上海に拠点を置く中国旺旺HD(ワンワングループ)へ煎餅の製造技術を提供するとともに出資を行い、巨額の受取配当という形で大きな経営成果を得ている。
岩塚製菓は1980年代から製造技術の供与を開始。そして中国国内で煎餅が大ヒットとなり、旺旺HDは円換算の営業利益が800億円弱、時価総額で約2兆円にも達する巨大企業に成長した。岩塚製菓はその旺旺HDの発行済み株式のうち約5%を保有しており、2013年3月期の有価証券報告書の付属明細表には同社の株式は評価額889億700万円で計上されている。
しかし、同社の貸借対照表を見ると、資産構成が特異な形になっていることがわかる。13年3月期の総資産は1035億5700万円。旺旺HDの株式が889億700万円ということは、総資産の85.8%を旺旺HD1社の株式で占めている計算になる。こうなると同社の屋台骨は、国内の米菓子市場ではなく、旺旺HDによって支えられているといってもよいのではないか。
興味深いのはこれだけの株式を所有していても、前述のとおり旺旺HDでの持ち株比率は5%程度という点だ。持ち株比率が20%に達しない場合は関連会社にはならず、旺旺HDは岩塚製菓のグループ企業とは見なされない。関連会社でないにもかかわらず、総資産の85.8%を占めているというのは、会計の面でも経営の面でも、歪な構造といわざるをえないだろう。