プレーイングマネジャーに求められるのは勝つこと

13年11月の紅白戦では、谷繁兼任監督が球審をやるパフォーマンスも。

13年、中日の打撃成績は、セ・リーグワーストの打率2割4分5厘。打てなかったことが、12年ぶりにBクラス(4位)に転落した理由である。

「いくら“負けない野球”をやっても、点を取らなくては勝てない。大切なのは、チャンスをつくったとき、いかにして点を取るかということ。たとえば、先頭打者が4球で歩き、次の打者が2塁打を放ち、無死2、3塁になったとする。そのとき、内野フライを打ち上げたら、点が入らない。外野フライを狙うか、ゴロで1点をもぎ取るか。打撃技術もさることながら、頭の中を整理して打席に入らなくてはならない」

今季、中日ファンのみならず、プロ野球ファンが楽しみにしているのが、プレーイングマネジャーとして、谷繁がどんなパフォーマンスを見せてくれるかということである。

捕手の兼任監督で記憶に残るのは、若い人なら古田敦也(ヤクルト)、オールドファンであれば野村克也(南海)だろう。古田の「代打、オレ」というセリフは、いまも記憶に残る。

「プレーイングマネジャーの経験がないから、パフォーマンスまで考える余裕がない。古田さんの記録を見たが、1年間に20~30試合しか出ていない(2006年は36試合、07年は10試合)。ぼくは今年(13年)130試合に出た。来年(14年)も、できれば100試合以上は出たいと思っている。自分が出るためには、当然のことながら、試合に勝たなければいけない」

余談だが、野村がヤクルトの監督時代、古田のロッカーが汚いことを批判したことがある。捕手らしい目配り気配りに欠けているという意味である。

谷繁も、監督に就任するやいなや「ロッカーをきれいにしよう」とナインに呼びかけている。

「自分の身の回りをきれいにできない選手が、まわりをきちんと見られるわけがない。野球も同じですよ」

野村は1970年から8年間もプレーイングマネジャーを務め、リーグ優勝1回、Aクラス6回という成績を残している。

「機会があれば、その秘密は何なのか、じっくり聞いてみたいですね(笑)」