なぜ失敗の経験が重要なのか

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組織改革でどう変わったのか

創造性(クリエーティビティ)を養ううえで重要になるのが失敗や挫折の経験です。当たり前ですが、映画業界で私は数多くの失敗をしました。そこで学んだことは、個人の失敗を個人の責任にしてはならないということです。多くの場合、1人の失敗は何か全体の構造に問題があるから、もっと大きな問題を示唆していることが多いのです。ですから、失敗が発生したときには、その事象の根底にあるものを解析し、大きな問題の本質を見抜くことです。そして、組織全体が失敗した個人に対して支援を行う体制をつくることが大切なのです。

ディズニーのような会社で最も避けるべきは、マンネリですね。そのために、まず組織全体として個々にイノべーションとリスクを認めることです。リスクが発生する以上、失敗するのは当たり前で、だからこそ組織全体に失敗してもOKだと周知徹底することが重要です。もし社員が失敗してもOKという経営陣の言葉を信じなければ、誰もリスクを冒すことがなくなります。これこそ、私たちにとって一番避けなければならない事態です。

忘れていただきたくないのは、『アナと雪の女王』を含め私たちが1本の作品をつくり上げるうえで平均4年の時間をかけているということです。その中で予算の問題も発生しますし、制作サイドと経営サイドの衝突も発生する。この作品も無数の失敗がありました。

ぜひ日本の皆様にはそんな背景にも思いを致しながら、映画館で休養の場として楽しんでいただければ、新たなインスピレーションを提供できるものと確信しています。

Andrew Millstein(アンドリュー・ミルスタイン)
ディズニー・アニメーション・スタジオ エグゼクティブ・バイス・プレジデント

南カリフォルニア大学 映画学・人類学キャンディデイト・マスター号取得。ディズニー・アニメーション・スタジオおよびディズニー・トゥーン・スタジオの海外拠点におけるビジネス運用とプロダクションを統括する。
(インタビュー・構成=タカ大丸 撮影=尾関裕士 図版作成=平良 徹)
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