ブラック企業の特徴のひとつが長時間労働である。月平均の残業時間はどれくらいか。有休消化年平均日数で休みが取りやすい会社かがわかる。
採用のプロセスもチェック。筆記試験がなかったり、少ない面接で決まるなど、採用にお金も時間もかけていない企業にも注意が必要だ。
NAの多い企業がブラック企業というわけではないが、「回答はNAが多いのにもかかわらず、“夢、やる気、熱意、成長”といった抽象的なことばかり強調している企業は要注意と考えたほうがいいです」(同)。
もちろんすべてがわかるわけではない。残業時間は平均なので、若手社員の実質ではないし、残業代がきちんと支払われるのかもわからない。これらは離職率から推測するしかない。
「『就活“3S”で絞れ』という見出しの記事が年頭の日経新聞に載りました。3つのSとは、『製』品、『成』長力、『職』種という企業選びの基準の頭文字です。でも、そこに働きやすい職場か、どんな働かせ方をしている企業なのかの視点も必要です。企業も社会的責任として、より情報をオープンにすべきだと思います」(同)
ブラック企業かどうかを決めるのは従業員の主観でもある。ブラック企業と呼ばれる会社でも、その待遇に甘んじている社員が存在するから、企業が存続しているのも確かだ。
だからといって、がんばれば報われるといったアドバイスは子どもを追いつめることにもなりかねない。がんばれば報われたのは、高度成長期の余韻が残っていた親世代までの話。
厚労省のまとめによれば、精神疾患の労災請求件数が年々増えている。
「過労死・過労自殺をする前に、会社を辞めたり、専門家に相談すればいいのですが、追い込まれると、そういう判断すら麻痺して、ひとりで抱え込んでしまうのです」(同)
責任感は職を失うことへの恐怖の裏返しかもしれない。就活中の子息をお持ちの方は、上西教授も執筆している「ブラック企業の見分け方」(発行:ブラック企業対策プロジェクト/http://bktp.org)をダウンロードして読むことをお勧めする。無料だ。