子どもには、安心して働ける会社に勤めてもらいたいのが親心。しかし、就活環境は親世代とはまったく異なる別世界。入ってはいけない、ブラック企業の診断ポイントはどこにあるのか?

入社してみたら、思っていたのと全然違う。就職は一生のことなのに調査不足と思われるかもしれないが、就職ナビには具体的な待遇は、初任給、勤務時間、休日休暇制度などしか書かれていない。これまでは年功序列で、給料は年とともに上がるのが常識だったが、今はその常識は通用しない。

「学生が利用する採用情報は大手の就職ナビからの情報が軸になっています。この情報は企業が金を払って載せている広告なので、当然ながら、自社の不利になることは書いていません」(上西教授)

では、ブラック企業はどこで見分ければよいのか?

今、がぜん注目されているのが、3年後離職率や35歳賃金、月平均残業時間など、働きやすさの目安になる客観的データが掲載されている『就職四季報』(東洋経済新報社)だ。「総合版」は採用数の多い大企業が中心、女性の働きやすさの指標を取り入れた「女子版」、今後成長が期待される「中堅・中小企業版」もある。

『就職四季報』で客観的データを読む

『就職四季報』からブラック企業を見分けるポイントをまとめてみた。

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『就職四季報』の見方1

まず、進みたい業界を他の業界と比較し、賃金や離職率など業界全体の傾向をつかむ。

3年後離職率は教育、学習支援業、宿泊業、飲食サービス業、そして新しい雇用の受け皿によくあげられる医療や介護福祉施設関連が高い傾向にある。しかし、1社ずつ比較してみると、情報の開示姿勢などに大きな違いがあることもわかる。

3年後の離職率が50%を超えていれば、入社した半数が3年後には辞めているということ。ただし、採用人数が少ない会社では極端な数字になるので、採用人数も確認すること。3年後離職率がNA(無回答)の場合は、従業員数と毎年の採用の比率、平均勤続年数をみてみよう。たくさん辞めることを見越して、多めに採用していないか推測することができる。平均勤続年数が短い場合は、設立年も確認すること。若い会社は短くて当然だからだ。