謙虚さと優柔不断は似て非なるものか

まず、謙虚さは手厚く遇する気持ちや丁重な姿勢や優しい物腰のことではない。謙虚さは意気地のなさや弱腰や優柔不断とは何の関係もないものだ。さらに意外に思われるかもしれないが、謙虚であるとは宣伝しないということではない。組織が繁栄するためには、セルフ・マーケティングを含むマーケティングを理解している人間が必要だ。

その一方で、謙虚さは人と異なる考え方をし、自分の信念にもとづいて発言したり行動したりする勇気のある人を評するには適切な言葉ではない。だが、強い個人主義がナルシシズム(自己愛)と結びつき重大な問題が生まれることが研究によって明らかになっている。ナルシシズムは自分の能力や業績に関する過度の自信が、関心や肯定や称賛を絶えず受け続けたいという欲求と結びついたものだ。

ナルシシズムという言葉は自己陶酔的な行動をとる人なら誰にでも広く使われる傾向があるが、心理学者の言うナルシシズムは、一部の人に見られる人格障害を指す正式な用語であり、彼らが健全な人間関係を築くうえで重大な障害になるものだ。ナルシストは自己認識や共感能力に欠け、批判や自身が侮辱と受け止める言動に対して概してきわめて敏感だ。このような人は往々にして自分の貢献を誇張したり、自分がさまざまな「専門家」であると主張したりする。このようなリーダーがいる組織は、問題を抱えることになる。

だが、そのような極端な人間を採用したり昇進させたりしないことに加えて、組織はリーダーたちに謙虚さという特質を養わせる取り組みをすることができるのか。また、するべきなのか。その目標は、公式のリーダーシップ開発プログラムではどのような形をとることになるのだろう。出発点として、われわれは6つの基本原則を軸に設計されたカリキュラムを提案する。