「9.11」の大嵐を創造のチャンスに

損害保険ジャパン社長 
櫻田謙悟
(さくらだ・けんご)
1956年、東京都生まれ。78年早稲田大学商学部卒業、安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)入社。2000年統合企画部長、05年執行役員金融法人部長、07年取締役。10年より損害保険ジャパン社長(現任)。12年より日本興亜損保との持ち株会社NKSJホールディングス社長を兼ねる。

2001年9月11日夜、自宅で入浴をしているときに、ニューヨークでとんでもない大事件が起きている、と妻が知らせてきた。「9.11」と呼ばれる同時多発テロだ。ハイジャックされた中型機2機が、乗客を乗せたまま、マンハッタン南端の世界貿易センタービルに激突。超高層ビルが炎上し、崩壊する。別の旅客機は、首都ワシントンの国防総省本庁舎(ペンタゴン)に突入し、もう1機が地上に墜落した。

衝撃の映像に驚きながら、日本への、そして勤務先の安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)への影響を考えた。頭に浮かんだのは、合併相手に決まっていた日産火災海上保険と大成火災海上保険のことだ。両社は、航空機保険の再保険を、かなり受け入れていた。利幅は大きいが、いざとなると、大変だ。両社に巨額の保険金の支払いが及び、合併に影響が出るかもしれない。頭の中が、ぐるぐると回転し、眠るどころではない。合併推進役の統合企画部長で、45歳のときだった。