日本には「高額療養費制度」がある
しかも、その割高ぶりは今後ますますひどくなっていく。日本人の平均寿命は2040年には男性が85歳、女性が90歳近くに達する見込みだ。がんは年を取るほどかかりやすくなる。高齢者が増え、若者が減れば、とうぜん保険料は増額されていく。
がん保険に大したメリットはない。そんなものより、日本には優れた公的医療保険制度がある。がんになって高額な治療費がかかっても、一定額を超えると「高額療養費制度」が利用できる。たとえば年収約370万〜770万円の人なら、1カ月の医療費が100万円だったとしても、自己負担額は約8万7000円で済む。
ちなみに、2026年8月から2027年8月にかけて、高額療養費制度の自己負担限度額は段階的に引き上げられる。所得区分によって差はあるが、最大で約38%増となる。
保険業界は「公的な支えが弱くなる。だからがん保険を」という売り文句を流すだろう。でもしっかり算盤を弾いてみてほしい。自己負担額が増えたところでせいぜい十数万円だ。何十年も高い保険料を払い続けるほうが明らかに損である。
がん保険に入るお金で貯金・投資をすればいい
「公的保険だけでは足りないかもしれません」「治療が長引いたらどうしますか」「働けなくなったら生活費はどうしますか」
保険会社はそう煽る。あなたにがんの恐怖を植え付け、万が一の備えを迫る。それが彼らの販売戦略だ。真に受けてはいけない。がん保険に入ったからといって、がんになる可能性が減るわけではない。まして、がんが治るわけでもないのだ。
がんになったらどうしよう。治療費だけじゃない。通院の交通費もかかるし、細々した日用品も買いそろえる必要があるかもしれない。休職によって収入も減ってしまう。それで家族を養っていけるのか――。考え出すと不安は尽きないだろう。
でもその不安をいちいち保険で帳消しにしようとするのは間違いだ。不安の数だけ保険料は際限なくかさんでいく。あなたの生活を圧迫するのは、ほかならぬその保険料なのだ。
がん保険にお金を使うくらいなら、こつこつ貯めておくなり、堅実な運用に回すなりしておこう。不運にもがんになってしまったら、公的な保障を受けつつ、足りないぶんはそこから払えばいい。がんにならなければ、そのお金はそっくりそのまま、あなたや家族のものとして残る。
がん保険に入るな。あまりに非効率で不合理なリスクヘッジなのだ。
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