6日間で実質的な機能停止に
さらにポルノハブは、年齢確認システムの強化、モデレーション体制の拡充、透明性レポートの公開なども約束した。同社は「業界のどのプラットフォームも実施していない厳格な対策」を導入したと主張した。
しかし、これほど劇的な改革を実施したにもかかわらず、クレジットカード会社の態度は変わらなかった。ビザとマスターカードは、ポルノハブへの決済処理を復活させることはなかった。その後現在に至るまで、ポルノハブは仮想通貨(ビットコイン等)でのみ決済を受け付ける状況が続いている。
興味深いことに、運営会社マインドギークの他のサイト、たとえばレッドチューブやユーポルノなどについては、クレジットカード決済が復活している。しかしポルノハブ本体での消費者向け決済だけは、改善策を講じても停止されたままだ。
ポルノハブ事件が世界に示したのは、一つの冷厳な事実だった。ビザとマスターカードの二社は、もはや単なる「門番」でも「料金徴収所」でもなかった。裁判所の命令も法的な違法判断もなく、自分たちの判断ひとつでGAFAに匹敵する影響力を持つサイトを、わずか6日間で実質的な機能停止に追い込むことができたのだ。
国家の主権を超えた強大な存在に
彼らはインターネットの「支配者」へと変貌していた。公的な権力によらず、私企業が決めた「規約」という名の独裁的な物差しで、誰を生存させ、誰を社会的に抹殺するかを勝手に選別することができる。これは、国家の主権すらも超え、デジタルの地平を支配する権力の誕生に他ならなかった。
投資家たちはビザを「インターネット経済の料金徴収所」と見做した。しかし、それは正確ではない。誰も設計しなかった支配が、静かに完成していた。いつしか、ビザはインターネット上の生殺与奪の権を握る存在になっていたのである。
ポルノハブのケースは、確かに正当な理由があった。児童虐待コンテンツの蔓延、レイプ動画の放置、被害者の訴えの無視――これらは明らかに社会的に許容できない問題だった。だから多くの人々がクレジットカード会社の判断を支持した。
以降、ビザとマスターカードによる決済停止の事例は世界中に広がった。ポルノサイトだけではない。政治的に都合の悪いメディア、宗教的に問題があるとされたコンテンツ、一部の国の政府が圧力をかけたサービス――。裁判所でも議会でもなく、民間の決済会社二社が、インターネット上の何が「許容できる」かを決める仲裁者になっていた。

