完全になくすのではなく影響を減らす

過敏性腸症候群では、症状を完全になくすことよりも、症状が出やすいパターンを把握し、仕事や日常生活への影響を減らすことが大切です。まずは、次のような工夫から始めてみましょう。

・食事や症状を1~2週間記録する
食事の内容・量・時間、便の状態、腹痛などを記録し、自分にとって症状が出やすい食べ方や生活パターンを把握します。管理栄養士などによる食事指導を受けることも症状の改善に有効です。

・会議や移動の前は、症状が出やすい食べ方を避ける
脂質の多い食事やカフェイン、アルコールなど、これまでの記録から症状が出やすいと分かったものは控えます。重要な予定の直前に、初めて食べるものを試すのも避けましょう。

・食事の時間と量をできるだけ一定にする
朝食を抜いたり、一度に大量に食べたりせず、規則的な食事を心がけます。

・散歩や速歩など、無理なく続けられる運動を取り入れる
身体活動を増やすことも、症状改善に効果があると示されています。激しい運動をする必要はありません。継続できる範囲から始めてみましょう。

・外出先では、トイレの場所をあらかじめ確認しておく
会議室や訪問先、駅などのトイレを事前に確認し、「トイレに行けなかったら」という不安を減らします。

自己判断で放置するのは危険

ただし、次のような症状や背景がある場合は、過敏性腸症候群以外の病気が隠れている可能性もあるため、医療機関に相談しましょう。

・血便、粘血便、黒い便が出る
・発熱を伴う
・6カ月以内に意図せず3kg以上体重が減った
・腹部にしこりがある
・50歳以降に初めて症状が出た
・大腸などの器質的疾患の既往歴や家族歴がある

また、こうした症状がなくても、夜間に腹痛や下痢で目が覚める、症状が急に変化した、以前より強くなってきたといった、これまでと明らかに違う変化があれば、自己判断で放置しないことが大切です。

過敏性腸症候群は、腹痛や下痢、便秘などの症状を繰り返すことで、仕事や睡眠、日常生活にまで影響することがあります。だからこそ、「お腹が弱いだけ」「ストレスのせい」と片づけず、自分の症状と向き合うことが大切です。

お腹の不調を我慢し続けるのではなく、症状とうまく付き合う方法を身につけることが、仕事も日常生活も無理なく過ごしていくための一歩になります。

※参考文献
・日本消化器病学会. 患者さんとご家族のための過敏性症候群(IBS)ガイド2023.
・Staudacher HM, Whelan K, Irving PM, Lomer MC. Comparison of symptom response following advice for a diet low in fermentable carbohydrates (FODMAPs) versus standard dietary advice in patients with irritable bowel syndrome. J Hum Nutr Diet. 2011 Oct;24(5):487-95.
・Johannesson E, Simrén M, Strid H, Bajor A, Sadik R. Physical activity improves symptoms in irritable bowel syndrome: a randomized controlled trial. Am J Gastroenterol. 2011 May;106(5):915-22.

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