脳の老化を防ぐのに、難しい脳トレは必要ない。日常の行動を工夫するだけで、衰えに抵抗できる。いつまでも若い脳でいるために今日できる新習慣を、脳科学者が教える。

ワーキングメモリを鍛えて記憶力を強化

買い物にも脳を使う場面が眠っています。普段の買い物で、商品を買い物かごに入れていき、レジではじめて合計金額を知るという人も多いと思います。脳を鍛えたいのなら、商品をかごに入れる際、ひとつひとつ金額を計算し、合計がいくらになるのかを暗算する習慣をつけることをおすすめします。

これはワーキングメモリを使う作業で、記憶力機能の低下を防ぐ効果があります。短期記憶とも呼ばれることもありますが、記憶をいくつ保持して処理できるかという能力のことです。わかりやすい例を挙げてみましょう。「コアラ」を反対から言ってみてください。「ラアコ」ですね。では「コアラ」「車(クルマ)」を順に反対から言えるでしょうか。「マルク」「ラアコ」。これができるのは、2つの単語を頭の中に保持したまま、順番を入れ替える操作ができているからです。3つ、4つと増えると、だんだん難しくなります。保持できる数が多い人ほど、容量が大きいということになります。

ちなみにこの力は、文章を読むときにも使われています。前に書いてあったことを保持しながら読み進めるからこそ、話の筋が追える。もし前の文をどんどん忘れていったらどうでしょう。何も残りません。読み終わったという感覚だけが残る。文章が読めない子供は、ここが弱いことが多いのです。