脳の老化を防ぐのに、難しい脳トレは必要ない。日常の行動を工夫するだけで、衰えに抵抗できる。いつまでも若い脳でいるために今日できる新習慣を、脳科学者が教える。

共感力を高めると孤独も防げる

人の話を聞くとき、右から左へと聞き流していると、脳はどんどん衰えていきます。「何を意識して聞くか」で脳の使い方が変わってきます。

私は講演でお客様と一緒によく行っている実験があります。まず、「まったくうなずかずに」私の話を30秒ほど聞いてもらいます。その後、会場の皆さんに尋ねると「話がほとんど入ってこなかった」と言われます。次に同じ話を「うなずきながら」聞いてもらいます。すると「先ほどよりもずっと理解できた」と、内容の理解度の差に皆さん驚かれます。動作を一つ変えただけで、頭のモードが変わるのです。

うなずくという動作は、相手を肯定するシグナルです。同時に、自分自身が相手を受け入れている状態でもあります。だから、耳から入ってくる情報を脳が受け入れる状態になりやすくなります。面白いことに、たとえ内容について知識が乏しかったとしても、うなずいてみると脳が「なんとか理解しよう」とするモードに入ります。うなずく動作が脳に「これは理解するものだ」と伝えているので、難しい話でも、なんとなく脳内に入ってくるのです。