「関係回復」を望む甘いアプローチの限界
現在、日中関係は冷え込んでおり、首脳間で円滑に対話できる環境にはない。
地域の不安定要因が高まる中、国際関係全体を見据えた戦略的な対露外交を構築しなければ、日本は中露両国からのさらなる圧力にさらされるリスクを抱えることになる。
またロシアは、中東でのアメリカとイランの交戦などにより、米国の国際的威信とアジア太平洋地域への関心が相対的に低下していることを見透かしている。
米国のジョージ・グラス駐日米大使は14日、SNSで日本の主権を支持しロシアを非難したが、国際社会全体がロシアの行動を強く制止できる状況にはないのが現実だ。
高市首相は「中長期的な関係回復を困難にしたと言わざるを得ない」と強い懸念を示し、対露外交のあり方を練り直す考えを示唆した。しかし、そもそも現在の力学において「関係回復」を望むこと自体に無理があったのではないか。
戦略を変えないと日本の領土は守れない
エネルギー権益の確保や「安倍時代」の対話の遺産にすがり、明確な戦略なきままに「歩み寄り」を見せれば、待ち受けているのは、足元を見られ、主権を軽視されるという厳しい現実である。
ロシアとの意思疎通に向けた試みが、結果的にプーチン政権側に誤ったメッセージを送ることがなかったか、政府は真摯に検証する必要がある。
日本外交は、ここで手痛い「敗北」を喫した。しかし、この冷徹な現実から出発しなければならない。軍事力を背景に北方領土の実効支配を強めるロシアの現状を直視し、幻想の「対話路線」とは決別すべき時である。
目先の動きに動じることなく、領土主権の侵害は決して許さないという毅然とした姿勢を示すとともに、アメリカをはじめとする同盟国・同志国との連携をより一層深める。国際関係全体を俯瞰した緻密な戦略のもと、主権国家としての確固たる覚悟を示すことこそが、今の日本外交に強く求められている。


