弱点だらけなのに経済成長できた秘密

何より特筆すべきは、韓国はこうした弱点を抱えているにもかかわらず、着実な成長を実現するためどれほど多くのことを適切に成し遂げたかという点だ。そして、これらの弱点を修正するためにどれほどのことを実行したかという点もだ。

ここから示唆されるのは、こうした問題を考えることで、日本もその基礎的条件のなかでもっとうまくやれれば、これまでよりずっと速い成長が可能になるということだ。

高いGDP成長率を見込める経済を実現するには、生産性を高めるような慣行が必要になる。同時に、経済活動が常にほぼフル稼働の状態で回っていくためには、需要が安定していなければならない。企業は、製品に対する需要と需要が安定するだけの成長を期待できない場合は、近代化やキャパシティ拡大のために投資をしなくなるだろう。

労働生産性でも日本を追い抜く見通し

韓国ではマクロ経済が非常に安定していたので、経済がテイクオフした1960年以降の65年間でGDPが落ち込んだ年はわずか3回しかない。しかも、その3回ともまれに見るショックに見舞われたためだった。

軍事独裁者の朴正熙(パクチョンヒ)が暗殺された翌年の1980年、アジア金融危機で大きく揺れた1999年、そして新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年だ。対照的に日本では、30年以上にわたって成長が停滞している。

1970年には、韓国の労働時間あたりGDPはアメリカのわずか10パーセントで、いっぽう日本では40パーセントだった。日本の労働時間あたりGDPのアメリカに対する割合は1995年がピークで、以後その割合が下がりつづけている。

韓国はなおも追い上げを続けていて、現在はアメリカの60パーセントに達している。数年のうちに、韓国の労働時間あたりの生産量は日本を大幅に上回るだろう。増えていく退職者を少なくなっていく労働者で支えなくてはならないのだから、生産性を引きつづき急速に拡大させていくことは、生活水準を維持するうえで欠かせない。

韓国では経済の成熟に伴い成長が鈍化したものの、一人あたりGDPの年間成長率は2パーセントと、この発展段階の国としては予測を十分上回っている。