なぜ中国以上の成長率を維持できたのか

図表2に示すのは、韓国と中国と日本が一人あたりGDP約8000ドル(2021年ドルベース購買力平価)を達成してからのそれぞれの成長の軌跡を示したものだ。

中国は、極貧状態から一人あたりGDPが8000ドルを達成するまでの段階では、他に例を見ないスピードで発展した。しかし8000ドルを超えたあとは、韓国が中国を上回っている。

両国で一人あたりGDPがそれぞれ8000ドルを超えたあとの22年間を見ると、中国の生活水準は8000ドル時点の3.8倍に向上したが、これに対し韓国の生活水準は8000ドル時点の4.2倍に向上し、2030年には8倍豊かになると予測されている。

韓国が日本と同じ構造的疾患を数多く抱えていると警告した経済学者は間違っていなかった。しかし、そうした弱みを抱えているにもかかわらず、日本と異なり韓国は繁栄への道筋を見いだした。その理由をこれから述べよう。まず、弱みから見ていく。

大企業と中小企業の深刻な格差

日本と同じように韓国も「二重経済」だ。すなわち、非常に効率性の高い輸出部門があるいっぽうで、国内の製造業ととくにサービス業の一部はひどく非効率という「ハイブリッド」になっている。

韓国の大企業と従業員250人未満の企業とのあいだの生産性格差は、OECD諸国のなかで3番目に大きい。OECD諸国の平均では、中小企業の従業員の時間あたりGDPは大企業の半分となっている。これに対し韓国では、中小企業の生産性は大企業の30パーセントしかない。かつては半分程度だったが、大企業で生産性が急速に伸びたいっぽう、その効率性の向上が中小企業には広まらなかったのだ。

このような生産性の格差は、ICTを含む最新設備への投資が十分でないためでもあり、また、生産性が低い多くの中小企業の雇用を守るための規制や政府による信用保証があるためでもある。これも、日本で見られる悪しき慣行と同様だ。

OECD加盟の他の国の平均では、サービス業の生産性は製造業の84パーセントの水準だ。これに対し、韓国では44パーセントにすぎない。このことによる影響は非常に大きい。韓国では労働力の70パーセントがサービス業に従事しているのだ。

中小企業の問題とサービス業の問題は重なっている。ICTとそのほかの専門的な企業向けサービスを除けば、サービス業の大部分は中小企業が担っているからだ。ただし、OECDの他の国の実績が示すとおり、サービス業は必ずしも生産性が低い分野ではない。