「沈黙の臓器」と言われるほど目立たない存在である肝臓と腎臓。最新の科学的研究によると、肝臓と腎臓こそ脳のパフォーマンスに深く関係しているという。

地味な臓器たちだが、実は感情と深く関係している

人間の脳は複雑な情報処理をしていて、他の体の部分に比べると「高度」な役割を担っているというイメージがある。筋肉や皮膚、そして内臓といった体の部分は、「マスター」としての脳の支配下にあると暗黙のうちに思っている方も多いだろう。

しかし、最近の研究によると、脳は体と深く関わっている。健全な体がなければ脳はきちんと機能できない。脳が体の影響を受けるという側面も大きい。脳をよく働かせようとすれば、体のメンテナンスを心がけなければならないのである。

とりわけ内臓は、脳との結びつきが深いことが徐々に明らかにされてきている。内臓の中でも、肝臓や腎臓は、主要な臓器であり、東洋医学では「肝は怒り」「腎は恐れ」と言われるなど、脳の働き、とりわけ感情との結びつきが注目されてきた。

東洋医学が経験則から見出してきた脳と肝臓、腎臓との結びつきは、科学的研究によってその詳細が解明されてきている。

肝臓は、体の「化学工場」として、さまざまな物質を合成したり、有害物質を分解したりする。肝臓が血液内の栄養成分を調整しないと、脳は十分に機能できない。脳が神経活動を通して高度な情報処理をするのに対して、肝臓は化学的な作用を通して複雑な体の機能の調整をしている。脳と肝臓はお互いに補い合っていて、肝臓なしでは脳は働くことができない。

腎臓は、血液を濾過して、老廃物や塩分を除去し、体外に出すという重要な役割を持っている。腎臓の機能は、血液の状態や、血圧に大きな影響を与える。脳は血液を通して供給される大量の糖質をエネルギー源として働いている。腎臓がきちんと働かないと、脳も健全に機能できない。

このように、肝臓や腎臓が機能しないと、脳はその可能性を十分に発揮できない。肝臓や腎臓の不調は、脳の働きの低下をもたらす。とりわけ、扁桃体などの脳内の感情の中枢の働きは、肝臓や腎臓をはじめとする内臓の影響を受けやすい。

腸は、脳との関係が注目される臓器である。近年盛んに研究されている脳と腸の関係、「脳腸相関」では、感情への影響が注目されている。

これまでは、感情の働き、たとえば気分が落ち込むとか、やる気が出ないなどの状態は、脳内の神経伝達物質の働きを通して説明されてきた。具体的には、精神の安定やポジティヴな感情を生み出すセロトニンなどの神経伝達物質の機能が大切だとされてきた。

近年、それに加えて、脳腸相関が気分や感情に影響を与えることが注目されている。腸内細菌のバランスが良くないと、脳の働きも整わなくなり、結果として気分が落ち込んだりする。食生活に気を配ったり、十分な運動をして、ストレスを軽減するなどの工夫で腸内の環境を整えることが、結果として脳に良い影響を与える。

(写真=iStock)

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