スマホは、今や現代社会にとって不可欠なツールだが、一方で負の側面もある。スマホの使いすぎによる健康被害、例えば、肩こり、睡眠障害、依存症なども指摘されている。
スマホは便利で人生を豊かにするツールであるがゆえに、依存してしまって、脳の使い方を間違えてしまうこともある。改めて、スマホとの上手な付き合い方を考えてみよう。
最近、時々耳にするのは、「なぜスマホで調べたことはすぐ忘れてしまうのか」という問題提起である。確かに、これだけ情報があふれている時代になったのに、博識な人が増えていないようにも思える。スマホという便利なツールを通して、目で見た情報を知識として定着させるために大事なことはなんだろうか?
スマホで得た情報が身につかない一つの原因としては、皮肉なことだが、それがネットに接続している存在だからということがある。有名な「グーグル効果」である。
グーグル効果とは、ある情報に接したときに、「これはあとでグーグルで検索できる」という文脈があると、記憶の定着が統計的に有意に低下するという研究結果である。スマホに提示される情報は基本的にすべてあとで検索できるから、グーグル効果で記憶の定着が悪くなる可能性があるのだ。
似たような研究として、美術館で見た絵についての記憶の定着にスマホが与える影響についての分析がある。展示室を回りながらスマホで絵の写真を撮影すると、撮らない場合に比べて、絵についての記憶の定着が統計的に有意に低下してしまうのだ。
スマホに関係した記憶力の低下は、現代社会における情報の存在およびそのネットワークのあり方の変化と関係している。以前は、書物や書類はあるものの、ひとりの人間が多くの情報を知っていることに価値があった。
「物知り」は尊敬されたのである。今では、情報は外部に、そしてネットワークの中に存在するようになった。人間の役割が変わってきた。
AIが発展することで、さらに人間の課題は変わってきている。
チャットGPTなどの生成AIは、ネット上の個々の情報だけでなく、それらを総合して要約し、文脈に合わせてアウトプットすることができる。いわば、「スーパー物知り」の存在である。このような時代には、人間の脳の働きが、記憶力優先でなくなるのはある意味では必然であるとも言える。
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