「22歳で三冠王」という偉業を達成
もちろん、相手のあることだから、いいところに投げられればどんなに調子がよくても打てないかもしれないけれど、心身ともにコンディションはいい感じだったので、「可能性はあるな」とは思っていた。
そして、この日の第4打席のことだ。シーズン公式戦最終打席となったこの打席で、横浜DeNAベイスターズの入江大生投手の初球を強振すると、打球はあっという間にライトスタンド中段に飛び込んだ。
日本人登録選手および左打者によるシーズン最多新記録となる56号である。55号を達成してから14試合、61打席ぶりの一発だった。
さらにこの瞬間、ムネの三冠王が確定した。打撃三部門の最終成績で、いずれもリーグトップとなった。打率.318、56本塁打、134打点で、首位打者、本塁打王、打点王の三冠である。
1982年、当時28歳だった落合博満さんの記録を抜いて、NPB史上最年少となる22歳での三冠王、令和初の偉業を成し遂げたのである。
たった4年でリーグを代表する選手に
本当に見事な活躍だった。こんなにも人は一気に成長するのか? 当時の僕は、そんなことを感じていた。
前述したように、プロ入りした当時の印象は「素直な普通の高校生」だったムネが、そこからわずか4年で、すでにリーグを代表するスラッガーへと成長した。この頃には早くも大打者の風格が漂い始めていた。
令和5年3月23日、総理大臣官邸で2023 WORLD BASEBALL CLASSIC日本代表として岸田総理を表敬訪問する村上宗隆(写真=文部科学省/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)
先輩選手への接し方も堂々としていたし、人数は少なかったけれど、ムネよりも年下の選手に対しては親身になってアドバイスをしていたし、マスコミやファンの人たちに対する接し方も、スター選手のそれに変わっていた。
(人間は、こんな短期間で一気に成長するんだな……)
僕は、ムネからそんなことを学んだ。
