失敗すれば破綻する自治体続出

で、日程を並べてみてください。オプトアウト登録が2026年8月から2027年2月、所得連動給付の先行導入と食料品減税の開始がどちらも2027年4月。段取りとしては当然なんですが、城内実さんが8月10日に知事会へ「申請不要にするので事務負担は軽くなる」と譲歩カードを切れたのは、この1600万人分の作業が5週間前から静かに走っているからです。減税と給付で騒いでいる足元で、別の制度が黙って動いている。

ちなみに、ご実家のご両親のところにこの簡易書留が届いている可能性があります。中身を確認せずに放置すれば、それが同意になります。

つまり地方から見ると、1兆6000億円の減収穴埋めという第一の交渉と、新設される給付制度の事務・費用負担という第二の交渉が、同時に走っている。しかも後者は前例がないので、地方側に相場観がありません。というか、掘られる穴が大きいことと、ハシゴが外れたときに破綻する自治体が続出することが予見されることから、失敗したときに受け身が取れない案件なんすよ。「急きょ示されて驚いている」というのは、そういうことです。

国主導で進めたことによる問題点

現場の温度差として、地味だけど重要な報道が乱舞しました。財務大臣・片山さつきさんは8月9日の静岡市内での講演で、消費減税について「国が決めることだが、自治体財政に影響を与えないようにするとお答えしている」「消費税はないかもしれないが国税は何回も減税しているので、そういった時のこともよくおわかりいただいているので、一定の信頼感は持っていただけていると思っている」と述べました。

一方、静岡県知事の鈴木康友さんは「しっかり代替財源を確保していただかないと。県だけでなく、あらゆる自治体に影響が出る」と要求しています。静岡県の試算では、基礎自治体を含めて約280億円の減収見込みです。

裏を返すと、城内実さんは「2年9兆円の財源はある」としつつも、現場で数字を積み上げている人間からしますと「一つの市町村レベルで見れば、目の前の6億円が足りない自治体が臨財債の発行に追い込まれるが、自治体収入が足りず2年待てずに元金を国が保証しても利払いで死ぬ可能性」を考える必要が出てきます。困りましたなあ……。