船のスクリューの2重反転ファンに着目
「すでにそういう製品があるのは知っていました。ただ、それらはUSB給電のため風量が弱かったので強くできたらいいなと考えました」(藤井氏)
そのとき、藤井氏のデスクの上にあったのが、OEM向けに製造していた鳩時計に使う小型モーターだった。「これにファンを付ければいいんじゃないか?」とひらめいた。しかし、ただファンを付けただけではパワー不足なのは同じだ。クロックメーカーのリズムにはファンのノウハウはなかったが、限られた時間の中でさまざまなファンを研究。そんな中で船のスクリューについている2重反転ファンを見つけた。
「タイトなスケジュールだったので、単一のファンだと風が弱すぎるからやめようって言っていました。あるとき、藤井から手持ちで2重反転ファンの風を向けられたらすごく風が強くて、これはやべえぞって思いました」(横田さん)
USB給電では5V0.5A、つまり2.5Wでファンを回すことになる。通常の扇風機なら40~50Wの電力を使うため、パワー不足は当然だ。しかし、2重反転ファンなら十分な風量が作れることがわかった。
ペン立てを改造して試作機を完成
モーターと同様にデスクにあったメッシュのペン立てをカットして試作機を作り上げ提案した。しかし、その時点ではクライアントの担当者は乗り気ではなかったそうだ。しかし、担当者が持ち帰った試作機を上司がデスク前を通りがかったときに偶然見かけて、「これはいける!」と直感でGOサインを出したという。これでUSBファンの製品化が動き出した。
そうして企画・製造したUSBデスクファンはOEM先の雑貨ブランドでヒット。数カ月遅れて発売した自社ブランドの「Silky Wind」も好調な売れ行きを記録した。
USBデスクファンが成功したことで、次のアイデアが出てきた。それが2016年に発売した携帯型のハンディファン「モバイルうちわ」だ。当時はまだバッテリーが搭載できず、電源には単3乾電池3本を採用していた。
しかし、これには苦戦した。USBデスクファンを納めた大手生活雑貨ブランドにも提案したが断られ、製品化前の2015年には展示会にも出展したがOEM先が見つかることもなく、反応は芳しくなかったという。一方で、中国・韓国のメーカーや工場からの来場者が足を止めて見て行ったそうだ。雑貨量販店など数社に声をかけてなんとか製造にこぎつけた。



