勤め先の保険に隠されたリスク

ただし、医療費はなにも保険から払わなければいけないわけではなく、結婚、住宅購入など、ライフプランにかかるお金以外に200万~300万円程度の貯金ができれば、医療保険は必要ない。

医療保険で得られるのは60日間の入院で60万円、手術給付金を入れてもせいぜい80万円程度であり、保険に頼るより、そのくらいのお金を確保しておいたほうが合理的である。医療費用として200万~300万円程度の貯金があれば、がん保険もあえて要らない。「医療費のための貯蓄が用意できる」という自信があれば、保険料は終身払いにして、貯蓄ができたら解約する方法もある。

また、勤務先に「団体保険」や労組の「団体生命共済」があるのなら、そういったものに入っておくのも手だ。ただし、一般的に会社を辞めると続けられないので注意が必要である。中高年でリストラされ、その時点で病歴があったら他の保険に加入できないということもありえる話なのだ。

20代であっても、結婚をして、子供を持つというプランをしっかり立てている場合は、いまのうちに死亡保険に入っておくのもいい。健康状態がよくないと入れないのが保険の特徴であり、イザというときに保険に入れず、「子供はあきらめる」と言い出す人も少なくない。そうならないよう、文字通り「保険」の意味で保険に入るというのもありなのだ。

なお、しっかりと医療保険に入っておけば、がん保険の必要性は低い。がんのリスクが高まる年齢まではまだ時間の余裕がある。イザというときには、保険の対象となるがん治療の内容ががらりと変わっている可能性も高い。まずは割安な保険料で医療保障を確保し、貯金を行うのがお勧めである。