脳の配線が傷つく恐怖

もうひとつ、これは少し専門的な話になりますが、小麦が神経に悪影響を及ぼし、認知症などの難病にかかる可能性を高めることが報告されています。

神経には「ミエリン」と呼ばれる、情報をスピーディーに伝達させるための絶縁体が巻かれています。これは、わかりやすくいうと、電線をビニールで巻いて、電気信号がもれないようにするのと同じようなもの。

神経も同じく電気的な信号です。このミエリンが傷ついてしまうと、電気的信号がすばやく通らなくなり、余計な部分が発火するなどして、脳にさまざまな悪影響を与えます。

そして、ミエリンもまた、グリアジンと構造が似ています。そのため、小麦が体内に入り続けると、体はグリアジンが適切な容量ではないと判断し、それに対して抗体をつくって防ごうとします。

もちろん、それ自体は正常に免疫システムが働いているということです。しかし、グリアジンとミエリンが似ているため、グリアジンを攻撃しようとした抗体は、間違ってミエリンのほうも攻撃してしまうのです。

脳のバリアがこじ開けられる

それでも、通常は血液脳関門が脳を守っているため、抗体が神経を傷つけることはありません。

でも、もしグリアジンによって分泌されるゾヌリンが原因で血液脳関門のタイトジャンクションが開いていれば……自己抗体が侵入し、容易に神経を傷つけてしまうでしょう。

近年、アメリカでは神経系の難病が増えており、「神経免疫系(神経と免疫のシステム)」に異常が起きると、結果として難病が引き起こされると考えられるようになってきました。

認知症をはじめ、ひと昔前には病名がなかったような難病も、実は神経免疫系になんらかの変性が発生し、引き起こされると考えられています。そして、脳や免疫システムに関する詳細な研究も進むなか、いかに「タイトジャンクションをしっかりさせるか」に着目した治療が広く行われています。