出店にあたり商圏調査をしたところ、30代女性の割合が最も高かった。そこで全方位型の店に修正。高齢者向けには商品の棚を低くして医薬品や健康食品を取りやすくする一方、化粧品売り場も充実させ、若い女性向けにカラーコンタクトの品揃えを増やした。戦術が当たり、売り上げは計画の30%増で推移する。
「薬剤師、登録販売者、ビューティアドバイザー、パートさん、アルバイトさんの連携で接客力を高めていきたい」
西尾市で生まれ育ち、他の地域の店長を経て、戻ってきた中根さん。古くからの顧客には「ナオちゃんも立派になったね」と励まされる。
こうして地元の中部を固め、関西にも約300店を持つスギが、次にめざすのは首都圏だ。関東地方で展開していた飯塚薬品を08年に買収。「ドラッグスギ」と変えて展開するなど、出店拡大を図る。
北海道のツルハも首都圏へ積極進出している。東京都内に50店近くあるツルハドラッグ、同じグループで東京下町や千葉県に強いくすりの福太郎の二刀流での戦いが続く。だが、迎え撃つ首都圏の各社は、どこか余裕を漂わせる。「地代家賃や人件費が高い首都圏で、長年店を運営してきた実績があります。費用負担が低い地方で伸びてきた他社さんが、首都圏で同じようにいくのか」(首都圏大手の首脳)。
対抗戦略は二手に分かれる。「価格訴求」と「価値訴求」だ。安さを重視する会社、カウンセリングの強化で挑む会社、両方を使い分ける会社もある。