呼吸の本質は「吸う」ではない
(1)結論と呼吸の本質
自己回復力を高め、あなたを支える呼吸法とは何か。一言で表現すると「腹の底から深く息をコントロールしながら長く吐くこと」です。
呼吸に意識を向け、腹底から深く長く息を吐くことで、漠然とした不安感に対処することができます。詳しくは次の項目で触れますが、日常の些細な場面で繰り返すことで、心は少しずつ安定していきます。
呼吸がもたらすよい効果のエビデンスはあまりにも多くあるのでここでは割愛しますが、呼吸法は日常の様々な場面で応用できる再現性ある技術なのです。
「落ち着いて深呼吸しましょう!」というと「吸って~、吐いて~」こんな言葉が浮かびませんか。この時、“吸う”が順番として先にきていますが、実は呼吸の本質は“吐く”ことです。
吐いた結果、息は後から勝手に身体の中に入ってくる。これが劇団四季というプロの世界で最初に習ったことでした。
ただ何となく吐くのではなく、“コントロールしながら長く吐く”ことを実践することで、不安感や胸がざわざわモヤモヤする症状に、その場で対処することができるようになったのです。
では次に、そのための呼吸のポジションについて説明します。
3カ所の“ゴムボール”を意識して呼吸
(2)呼吸のポジションの考え方
「真人の息は踵を以てし衆人の息は喉を以てす」
これは、劇団四季の稽古場の入り口に掲示されていた、中国戦国時代の思想家「荘子」の言葉です。プロは足の裏ほど深い意識で呼吸するのに対し、素人は喉や胸といった浅い呼吸をしている—こんなニュアンスでしょうか。つまり深い呼吸の意識が重要ということです。
次の図をご覧ください。
喉・胸・お臍の少し下あたりに丸いゴムボールのような印がありますね。この印は呼吸の意識がどこに向いているかを確認するためのものです。
息が身体に入っていく時にゴムボールが膨らむ。息が外に出ていく時にゴムボールが萎む。こんなイメージをしてみてください。
多くの人は、喉や胸といった浅いポジションで呼吸をしています。しかし劇団四季のプロの世界では、呼吸の意識を深く深く、腹底のコアポジションまで落とすことが、安定した高いパフォーマンスのために必要不可欠だったのです。
まずは、この図のコアポジションの位置を体感して頂きたいと思います。次の図表をご覧ください。これは私がバレエ「ルミエール・フロアメソッド」で後藤早知子先生から習ったワークです。
普段から呼吸の意識をこのコアポジジョンくらい深く捉えておくことが大切です。 息が浅い時の自分に気づけるからです。
これから自己回復力を高める呼吸法を実践しますが、このコアポジションから息を流し、 コアポジションに返ってくる。この流れを掴んでいきましょう。



