吸うのではなく「息を取り込む」

(3)基本動作:吐ききって脱力

次に呼吸の基本動作である“吐ききって脱力”を解説します。

先ほど、呼吸の本質は“吐く”ことで、吐いた結果、後から勝手に息が身体の中に入ってくる、とお伝えしましたね。息を吐ききって、下腹部全体を脱力して緩めることで勝手に息が取り込まれてきます。これが基本動作の“吐ききって脱力”です。

では実践してみましょう。

膝を立てて仰向けに寝た状態で、コアポジションを意識しながら、まずは口から息を吐いてみます。もう息が出ないというくらい一度吐ききってみましょう。この時、肛門を軽く引き締めるように吐いてみてください。

もう吐けないなというくらいになったら数秒キープし、締めた肛門を緩めると同時に腰回り全体をゆっくり脱力してみます。すると、多くの方が、お腹の底に息がすーっと取り込まれる感覚を感じます。

逆に、吐ききった後に、意図的に息を吸いこんでみてください。胸のポジションあたりが膨らむと思います。これが、息がうわずっている状態です。

【図表4】息がうわずっている状態
出典=佐藤政樹『世界一やさしい「ブレない自信」のつくり方』(日本実業出版社)

吸うのではなく“息を取り込む”です。呼吸法において“吸う行為”は意図するものではなく、脱力した結果として起こるものなのです。これを練習時の標準にしていきましょう。

「吐く時は口からですが、取り込む時はどうしたらいいですか?」

とてもたくさん頂く質問です。舞台俳優の場合、鼻から取り込むことで唾液が気管に入り咽せるのを防げるため、鼻からを勧めています。厳格な決まりはありませんが、あなたが仕事で歌など必要のないビジネスパーソンなら、口でも鼻でも自分がやりやすいほうで構いません。

長く吐くためのテクニック

(4)息を支える

ここからは少しマニアックに感じるかもしれませんが、できる範囲で大丈夫です。次は「息を支える」を体感していきましょう。

息を長く吐こうとすると、支えがないとすぐに息がなくなってしまいます。試しに「はひふへほ」を一息で繰り返し言ってみてください。

おそらく数回も続かないはずです。それは息が支えられていないからです。しかし息が支えられていると「はひふへほはひふへほはひふへほ~」と5~10回連続で言えたりします。

これは“息を支える”感覚を掴むための一例ですが、「腹の底から深く息をコントロールしながら“長く”吐く」ためには、この支えが欠かせません。

では実際にやってみましょう。

先ほどと同様に膝を立てて仰向けになって床に寝ます。今度は、お臍の少し下辺りに、辞書くらいの分厚い重みのある本を置いてみましょう。息を吐くと本が床に向かって下がる動きをするはずです。

次に、息を吐く時に本が床に向かって下がらないように、お腹の底にあるゴムボールを上に向かって張り続けるようなイメージで息を吐いてみてください。

【図表5】お腹に辞書を載せて息を吐く
出典=佐藤政樹『世界一やさしい「ブレない自信」のつくり方』(日本実業出版社)

吐くことで萎む腰回りを、萎ませないように張り続ける。これが息の支えです。張り続けるといっても、強く固める必要はありません。しなやかに張りを保つイメージです。この意識で息を吐くと、首や肩に力が入らず、深く長い息を吐けるようになります。