効果的なのが「風」

永島さんは、まずは涼しい所に移動すること、そして濡らしたタオルで体を覆うなどの方法が有効だという。さらに、日常生活でもっと手軽に体を冷やす方法はないのかと尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「割と効率的なのは、風なんです。氷水で冷やすのは伝導性がいいので熱は逃げやすくなるんですが、日常では、いかに空気に熱を逃がしていくかっていうのが大切ですね。風を当てると汗が皮膚から蒸発する速度が速くなり、それによって体の熱を空気中に逃がしてくれますから、扇風機などを利用するのはいい方法です」

写真=iStock.com/JulieAlexK

さらに、風によって対流がおこり、皮膚表面近くにある温かく湿った空気がより冷たい空気に入れ替わることも、体の熱を逃がす効果につながる。風を当てる時間や効果はその時の湿度や気温によって異なるものの、永島さんらがおこなった実験では、運動間の休憩中の送風が体の冷却に有効であることを示した。

永島さんによれば、風通しのいい服を選んだり、ファン付きの作業服を着用したりするのも、熱が逃げやすくなって効果的だという。

「しっかり体を冷やしたいときは、水で濡らした冷たいタオルで体を冷やしながら、さらに扇風機やうちわで風をあててあげるといいと思います」

うちわなら、日常の中で「ちょっと危ないかも」というときに手軽に活用できそうだ。

暑さ指数をチェックする

最後に、環境要因をチェックすることの大切さにも触れておきたい。

普段私たちが何気なく口にしている「暑い」という言葉には、気温だけではなく、湿度や風、日射や衣服などが関係している。こうした要素を落とし込んだものが「暑さ指数」だ。

「暑さ指数」は、湿度や日射、風の影響を数値化する「WBGT(湿球黒球温度計)」で測定することが出来る。

WBGTは、気温を測る温度計に加え、気化することで下がる温度を反映する「湿球温度計」と、日光などの赤外線によって上がる温度を反映する「黒球温度計」を合わせたもの。3つの温度計の数値を計算式に入れて、「暑さ指数」を算出する。

永島さんは、「WBGTは、気温と湿度、日射、さらに風の影響を含め、まとめて『危険度』とした強力なツールだ」と言う。

WBGTによって測定した暑さ指数は、環境省の「熱中症予防情報サイト」で各地の予測と実況が確認できるので、判断基準の一つとして参考にしたい。同サイトには、危険度別の活動の目安も公開されている。

【図表2】暑さ指数別注意
環境省熱中症予防情報サイトを基に筆者作成

「ただ、WBGTはちょっとした場所の違いで、すごく変動するんです。例えばひとつの学校でも校庭の真ん中と風通しのいい中庭で危険度に違いが出たりするんですね。だから熱中症の危険が高いと思う場所では、現場ごとにWBGTを設置してもらうと良いのかなと思います」

調べてみると、WBGTは2000円〜3000円で手軽に購入できるものがいくつも販売されていた。永島さんは、学校やスポーツの現場はもちろん、外仕事や身体活動が多い労働現場では、より正確な暑さ指数の把握のためにも、WBGTを設置しておくことを推奨している。