ツルハホールディングス/1929年、北海道旭川市に創業。北海道を中心に拡大し、南下。写真は南8条店の伊藤文人店長。食品の品揃えを充実させ、PBの冷凍食品も並ぶ。

南の雄・コスモスに対する北の雄がツルハだ。グループ店舗数1090店のうち北海道・東北に約680店を持つ。近年は食品の売り上げ拡大に力を注ぐ。

北海道一の歓楽街・札幌すすきの――。この近くに「ツルハドラッグ南8条店」がある。医薬品や日用品も充実するが、食品売り場も広く、特に冷凍食品が際立つ。「この店は時間帯で客層が分かれます。午前中は近隣に住む高齢者で、午後は主婦や学生、夕方以降は帰宅途中のサラリーマンやOL。深夜は飲食店関係者が多い。きめこまやかな対応を心がけています」。

「ほんまにうまい ぜいたく焼売」(6個入り298円)を手にする伊藤文人店長(34歳)。和食チェーン店の運営会社から転職した。前職とは違い、品揃えの裁量を任されて自分の意見も言いやすい。その風通しのよさに満足している。

ツルハホールディングス社長 
鶴羽 樹
1942年、旭川市生まれ。大阪商大商学部を卒業後、大都商事を経て76年、クスリのツルハコントロールセンター(現ツルハ)入社。97年から社長。「夢は大きく! 店舗数を20倍にしたい」

すすきので、コンビニ以外に深夜営業をする小売店は少なく、駆け込み購入先として喜ばれる。水商売系の客には、ビールのケース買い、精力剤も売れるとか。

ツルハHDの鶴羽樹社長は、出店戦略をざっくばらんに語る。

「長年、郊外型でやってきたが、最近は住民の都心回帰が進む。北海道は雪による弊害が多く、高齢者は雪かきも大変。郊外の一軒家から町なかのマンションに移る人も増えました。だから『もう郊外型はいらん』と言っている(笑)。もっと人が多い場所に店をつくらないと。南8条店はそのモデル店。駐車場もあるが、多くのお客様は自転車や徒歩で来られる。食品の売り上げ構成比も3割を超えました」

時間が空けば店を回るという鶴羽社長。「以前は『薬がおろそかになるから食品は広げない』と言っていたが、方針を変えた。働く女性も増えたので、手早く食事の用意ができる冷凍食品を充実させていく」。

(小野達多志、川本聖哉、田辺慎司、永井浩、山口典利=撮影)
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