本当に死亡リスクが高かった属性

ブルチャク博士は、男女を分けて分析したところ、さらに意外な事実を発見しました。

外見と寿命の関係がはっきり確認されたのは、「女性だけ」だったのです。

容姿が「魅力的でない」と評価された女性は、「魅力的」と評価された女性に比べ、死亡リスクが1.91〜1.98倍と約2倍に達しました。

一方、男性ではまったく異なる結果となりました。見た目の良し悪しと死亡リスクとの間には、統計的に意味のある違いは確認されなかったのです。

つまり、この研究では、男性は容姿だけで寿命が左右されるとは言えませんでした。

「見た目」が寿命を左右する2つの背景

ブルチャク博士の分析が示すように、見た目が魅力的ではない人の死亡リスクが高く、この影響は特に女性で顕著であることがわかりました。

このような差はなぜ生まれたのでしょうか。

ブルチャク博士は、この点に関して大きく二つの理由が考えられると説明しています。

① 見た目が健康状態を反映

一つ目は、見た目そのものが健康状態を映し出している可能性です。

ブルチャク博士によれば、外見の魅力は単なる好みの問題ではありません。

思春期の外見には、ホルモンバランスや免疫機能、慢性的な炎症など、その人の体の状態がある程度反映されている可能性があります。

つまり、「魅力的でない」と評価される背景には、まだ病気として診断されるほどではないものの、健康上の不具合が隠れているかもしれないというのです。

もしこの仮説が正しければ、見た目は単なる顔立ちではなく、「健康状態のサイン」の一つということになります。

② 社会から受けるストレス

しかし、それだけでは女性だけ死亡リスクが高かった理由は説明できません。

そこで二つ目の理由として考えられるのが「社会から受けるストレス」です。

心理学には「ハロー効果」と呼ばれる現象があります。外見の良い相手に対して、「仕事もできそう」「誠実そう」「健康そう」といった好意的な印象まで無意識に抱いてしまう心理現象です。

この結果、学校や就職、職場、人間関係など、人生のさまざまな場面で外見の良い人は有利な扱いを受けやすくなります。

学校の教室の席でスマホを使用する女子学生
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

反対に、そうでない人は、冷たい態度や拒絶、不当な低評価を繰り返し経験することがあります。

こうしたストレスが何年、何十年と積み重なると、体内ではストレスホルモンであるコルチゾールが慢性的に分泌されます。

その結果、炎症が続き、高血圧や糖尿病、心血管疾患、さらにはうつ病などのリスクを高め、寿命を縮める可能性があるのです。

特に女性は、男性以上に「美しさ」を求められる場面が多く、外見への評価も厳しくなりがちです。だからこそ、外見によるストレスがより深刻になり、それが死亡リスクの差として現れた可能性があると考えられます。

【図表1】「見た目」が寿命を左右する2つの背景
グジェゴシュ・ブルチャク氏の研究を基にClaudeを用いて編集部作成