足の裏にも同じしくみがある
実は、足の裏にも手のひらと同様のAVA構造があります。ただ皮膚が厚い分、手のひらほど効率はよくありませんが、それなりに有効です。
この構造は、夏だけのものではありません。冬に「足湯」が身体全体を温める効果を持つのも、まったく同じしくみによるものです。足の裏のAVAを通って温められた血液が、全身に運ばれていくのです。
夏は手のひらを冷やし、冬は手袋でしっかり覆う。手足の末端をどう扱うかは、季節を問わず体温管理の要になります。
血管そのものが壊れていては働かない
ここで、忘れてはならないことがあります。手のひら冷却が効果を発揮するためには、血管そのものが正常に機能していることが前提だ、ということです。
これまでお話ししてきたとおり、熱中症では血管の内側を覆う血管内皮細胞が傷みます。特に静脈側の内皮細胞は熱に弱く、損傷すると血液が心臓にうまく戻れなくなり、循環障害が起きます。
血液の循環が滞るということは、熱を帯びた血液が手のひらの表面を通過し続けられなくなるということでもあります。ポンプが詰まれば水路に水が流れなくなるように、循環系の一部が機能しなくなれば、体温調節の連鎖全体が崩れてしまうのです。熱中症が進行すると体温を下げる効率そのものが落ちていくという悪循環は、この血管レベルの損傷と深くつながっています。
だからこそ、外側からの冷却と、内側から血管を守る対策は、両輪で考える必要があります。手のひらを冷やすという「その場の技術」と、日頃から血管内皮細胞を丈夫に保っておくという「備え」。この二つが揃ってはじめて、熱中症に対する防御は確かなものになるのです。



