自分の役割を単なる「求人広告の営業マン」から第2領域の役割に変革したのである。これをきっかけに彼の仕事の仕方が変わった。以前は「30万円でどうですか。もう少し安くすることもできます」と自分の商品を売り込むだけだったが、役割の変革後は別人のようになった。

「どんな組織をつくりたいのですか」
「そのためにどんな人材が必要ですか」
「そういう人材を採用するためには、こんな取り組みが考えられます」

こんなふうに、アプローチの仕方が根本から変わったのである。その結果、顧客からの評価も「広告枠を売りにくる煩わしい人」から「組織づくりの信頼できるパートナー」に変わり、営業成績も急激に上がった。ついには自社の年間MVPを獲得するまでになった。

このように、役割を変革するとやるべきことが明確になり、行動が変わり、卓越した成果が生まれるのだ。

いつまでに何をどう変えるのか

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図1 自分の「役割」を見直してみよう

役割を変革させる具体的な手順を見ていこう。まず、現在の自分にとって大切な役割を5~7個書き出してみる。そして、それぞれの役割において最も影響が及ぶ相手が誰かと、今、自分が果たしている役割の水準を、A卓越レベル(よくできている)、B平凡レベル(人並み)、Cマイナスレベル(時間も労力も割いてこなかった)の3段階でチェックし、現状を把握する(図1)。

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図2 「卓越した役割」を考えるための参考問題

次に、従来の役割を第2領域の役割へと定義し直す。各々の役割において、大切な相手が最も達成したいことや最も困っていることを考え、同時に、そのために自分ができることは何か考えてみる。そして、それは自分が情熱を持って取り組める対象かどうかも検討する。自分がこれまでに強い影響を受けた人物を挙げて、どんな点に自分が感化されたのかを振り返ることもヒントになろう(図2)。

第2領域の役割を見出すことができたら、新しい役割を宣言する。ここで必要な要素は3つある。1つめは、新しい役割の名前。2つめは、その役割において実現する卓越した成果の説明。それはシンプルかつ明確でなければいけない。3つめは、その成果を実現するために行う具体的な活動である。