若い人たちの「生徒」になると脳が若返る

ここまで述べたとおり、若い世代とのいわば教養のエクスチェンジによる脳科学的なメリットもあります。

その1つが、「脳の若返り」です。

皆さんは、脳科学用語の「ミラーニューロン」という言葉をご存じでしょうか。

1996年にイタリアの脳科学者ジャコモ・リゾラッティらによって発見された前頭葉にある神経細胞で、その名前が示唆するように、自分の行為と相手の行為を鏡に映し合うのです。

たとえば、相手が喜んでいると自分まで楽しい気分になってくる。あるいは相手が悲しんでいる様子を見ると、なんだか自分まで気分が落ち込んでくる。

誰もがこのような経験をしたことがあるはずです。

これは、脳の中で相手の行動や感覚を自分の脳に映し込んで認識するミラーニューロンが働いている証拠なのです。

つまり、若い人たちの「生徒」になって、いろいろな教養や相手の気持ちに共感することで、自分がその年齢だった若いときのことを思い出すわけです。

すると、脳の回想療法で脳が若返るという効果があるのです。

男性ビジネスマンがオフィスの休憩室のベンチでスマホを見ながら笑顔で話している
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新聞社で働く2種類の人間

私たちの記憶というのは、年代別になっています。

つまり、自分が若かった昔の記憶を思い出すと、そのときの関連情報が脳の引き出しから呼び出されて出てきます。

すると、脳が若いモードに変換されることで、感情も若いときの気持ちを思い出す。これが脳の感情システムです。

ところが、同時代的な教養を身につけるための若い世代との教養のエクスチェンジができない人というのは、どうしても「時代遅れ感」を拭うことができません。

「もう私は前の時代の人間だから」
「今の時代のことがさっぱりわからない」

このような考え方は、脳が老化の一途を辿る兆候だと認識してください。

私の周りにも、こうした考え方の人たちがいます。

たとえば、新聞社の人と話をしていると、面白いように2種類の人間に分かれます。

一方は「もう紙の新聞の成長は厳しい。だから次のビジネスを考えよう」というタイプの人です。

もう片方は「やっぱり紙の新聞は大事ですよね。紙の新聞を教育の中で使いましょう」などという人。つまり、新聞1つとっても進歩派と守旧派があって、その守旧派の方というのは一定の役割は果たしているのですが、やはり前の時代にしがみついている感じが拭えないわけです。