家事専業女性1000万人の活用が急務

図を拡大
図4 2040年の就業者数は4480万人へ減少

ここで「少子化でこれからますます人手不足になっていくというのに、どこで働き手を探せばいいのか」という疑問を持つ人がいるかもしれない。それに対する明快な答えを持っているのが藻谷さんで、「10年から15年までに就業者数は220万人も減少します(図4参照)。しかし、15~64歳の家事専業女性は約1000万人もいて、彼女たちの5人のうち1人が働き出せば、十分にカバーできます」という。

女性の就労を促すメリットとして藻谷さんは、(1)家計収入が安定して保育所を利用できるようになり、出生率がアップする、(2)家計所得の増加で税収が増え、年金の保険料収入も安定していく、(3)モノの消費が増えて消費税収が増加する、(4)外国人労働者の受け入れと違って教育コストや福祉コストが低くて済む――などをあげる。この(1)に関して興味深いデータが図7で、出産適齢期の女性が働いている県の女性のほうが、そうでない都道府県よりも生涯に産む子どもの数が多いのだ。

女性が就労するのなら、1つの会社でキャリアを積み、経営の一角を担うようになるのが理想像の1つであろう。

「しかし、女性の就業割合を年齢別で見ると30~39歳の子育ての時期を底に“M字カーブ”を描いています。さらに雇用形態別に見ると、正社員の割合は20代後半をピークに落ち込む“ヘの字型”で、再就職が派遣やパートで占められていることがわかります。能力が発揮できずに“宝の持ち腐れ”になっている可能性が高い女性が多いのです」とみずほ総合研究所上席主任研究員の堀江奈保子さんは指摘する。