これから日本は急速な「生産年齢人口の減少」「後期高齢者の増加」の時代を迎える。そうしたなかで一体どういったことが起きるのか? 社会保障給付費の負担増にともなう現役世代の苦しい生活の姿が垣間見えてくる。

現役世代にとってますます身動きのとりにくい時代になっていくようであるが、何か起死回生策はないのだろうか。実は、現役世代にのみ負担をかぶせるのではなく、高齢者にも負担増を求めようというのが、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんである。

「裕福な高齢者は多く、リタイア後も社会保障を支える側に回ってもらいます。現役並みの所得のある高齢者の方には介護保険で負担を増やしてもらうことになりましたが、所有している資産にも応じて、年金や医療費なども含めた社会保障の負担を求めていくのです。その資産の掌握には16年から始まるマイナンバー制度を利用していくことが有効な手段になるでしょう」

12年の家計調査を見ると、世帯別の貯蓄残高は30~39歳=567万円、40~49歳=1033万円なのに対して、60~69歳=2249万円、70歳以上=2197万円となっている。一方で負債額は、30~39歳=909万円、40~49歳=978万円なのに対して、60~69歳=197万円、70歳以上=96万円であり、貯蓄から負債を引いた純資産は高齢者ほど多く、十分に余裕がありそうだ。さらに日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんは、年金支給に税金を投入するのをストップすることを提言する。

「いま払い込まれた保険料を、いま生きている高齢者に年金として給付することに徹します。現状は年金が大量に貯蓄されてしまい、その結果、経済波及効果は極端に低くなっています。それに現在の高齢者は、自分たちが払い込んだ以上の年金を受け取っていてアンフェアです。だから税金を投入せず、厳正に年金を運用すべきなのです。年金が減額されて生活が苦しくなれば、手元にある貯蓄を取り崩せばいいのです。貯蓄がなくなったら、正々堂々と生活保護を受けましょう。生活保護はそのためにあるのですから」