“血糖値の悪化”を防げる
なぜ乳製品をとることで炎症反応まで抑えられるのかといいますと、筋力が向上することで筋肉内のミトコンドリアの劣化を防ぎ、全身の組織を傷つける活性酸素が排出されないようにするからです。つまり、サルコペニアによって引き起こされる加齢性疾患の予防効果がより高まるということになります。
運動後の乳製品摂取は、血液の状態にも影響を与えます。図表4はインターバル速歩を6カ月以上続けている中高年女性に、さらに5カ月間継続していただき、運動後30分以内に乳製品をとった方々(摂取群)ととらなかった方々(対照群)に分けてヘモグロビンA1c、血漿量、血漿アルブミン量の変化を比較した研究の結果です。
出典詳細
Uchida K,et al.:Interval walking training and nutritional intake to increase plasma volume in elderly.Medicine and science in sports and exercise 50:151-158,2018.を基に作成
糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cが対照群で上昇したのは、図表3のところで解説した季節変動の影響(食事の量や内容などの変化)とそれによる脱メチル化が原因だと考えられます。一方、摂取群では、インターバル速歩に乳製品を組み合わせて筋力を向上させたことで季節変動の影響を受けず、血糖コントロールの悪化を防ぐことができたのだと考えられます。
酸素を運ぶ力が高まり、持久力が向上する
また、摂取群では対照群に比べて血漿量と血漿アルブミン量の減少が抑制されました。
血漿はブドウ糖やたんぱく質、脂質などを含んだ血液の液体成分で、血漿アルブミンは肝臓でアミノ酸を材料にして合成されたアルブミンというたんぱく質が血液中に放出されたものです。
アルブミンには血管内に水分を留める働きがあり、血漿アルブミン量が増えると血漿量も増加します。血漿量が増えると、1分間に心臓から全身へ送り出される血液の量(心拍出量)、すなわち、血液によって運搬される酸素の量が増加します。
「ややきついと感じる」強度の運動を行った直後は肝臓でのアルブミンの合成が活性化しますが、このタイミングでその材料となるアミノ酸を取り込むことでさらにアルブミン合成が促進され血漿アルブミン量と血漿量が増えて、筋肉を含む全身の組織への酸素供給量が向上するのです。
つまり、インターバル速歩後の乳製品摂取には、筋肉への酸素供給量を増やして持久力を向上させる効果もあるのです。
(参考文献)
・「歩き方を変える」だけで10歳若返る、能勢博 著、主婦と生活社、2013年
・ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方、能勢博 著、講談社ブルーバックス、2019年
・健康寿命が10歳延びる「筋トレ」ウォーキング 決定版、能勢博 著、青春出版社、2020年
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