生活立て直しのための3つのアドバイス

① 一人暮らしをやめて、実家に戻り、両親と生活する。
② 若者サポートステーションなどで、他の人との共同作業をしてみる。
③ システム開発にこだわらず、できる仕事を探してみる。

まず①の一人暮らしをやめるという点です。もともと仕事があった時から、昼夜あまり関係ない生活になっていました。納期が迫ると徹夜でこなし、それが終わると昼でも寝ているという状況が続いていました。さらに仕事が途絶えてからは、おなかがすいたらコンビニに行き、眠くなったら寝るという生活になっています。まずは生活ペースを取り戻さないと、勤めに出ることはもちろん、在宅での仕事もできません。在宅の仕事は、お勤め以上に自己管理が必要です。家賃などの支出を減らすことにもつながります。

②の他人との共同作業をすることも大切です。そうすることで、仲間に迷惑をかけないようにという意識が働き、それが仕事へのモチベーションにもつながります。たとえそれがボランティア作業だったとしても、急に無断欠席をすると、周りに心配をかけることになります。逆に、仲間のメンバーが無断で休むと「事故にでも遭ってないかな」と心配になるものです。そうした共同作業を続けていくと、仕事を請け負うための責任感も芽生えてくるのではないでしょうか。

もっとも大事なのは③についてです。ご相談者は、プログラム作成の技術があります。それは特殊な技能ですので、誰にでもできる単純作業に比べて高い収入が得られます。できれば特技を生かした仕事をするのが得策です。しかし、仕事ができないのであれば元も子もありません。得意分野はいったん諦めて、無理なくできる仕事から始めてみるのがよいでしょう。たとえ賃金が安い仕事であったとしても、続けていくことができれば、いずれ自立への道を開くことができ、生活設計が成り立ちます。

プログラミングのソースコード
写真=iStock.com/scanrail
※写真はイメージです

私が3つの提案をすると、黙って聞いていた翔太さんは言いました。

「う~ん、わかりました。考えてみます」

半年後、本人から近況報告の連絡がきた

その表情からは、心に刺さったかどうかは、読み取れませんでした。私の話に賛同したとしても、実際にそれを実行するのは簡単ではありません。頭では理解したとしても、実行することができずに、現状の状態が続いてしまう人は少なくありません。どうなるか、すべては本人次第でした。

半年後、翔太さんは状況の報告をしてくれました。

その内容は、半歩前進という印象でした。

聞けば、私の助言の通り、今は実家に戻って両親とともに生活しているそうです。両親は、最初は驚いたものの息子の立ち直りに協力してくれました。ただし、肝心の仕事はできておらず、現状では両親に養ってもらっている状況です。

貯金を崩さずにすんだことはよかったことですが、このまま脛をかじり続けることになると、しわ寄せが60代の両親にいっただけで、根本的な問題解消にはなっていません。64歳の父親は定年退職後に契約社員として働いていますが、近いうちに年金暮らしとなります。62歳の母親はパートをしていますが、こちらもいつまで働けるかは未知数です。まさかの息子の「出戻り」によって老後生活のプランは変更が余儀なくされることになるでしょう。

翔太さんが、賃金の安い仕事でもいいのでとにかく最初の一歩を踏み出せるかどうかに、本人だけでなく、両親の残りの人生もかかっているといって過言ではありません。本人からの連絡内容からは、残念ながらその「第一歩の可能性」をうかがい知ることはできませんでした。

それでも地元のNPO法人が運営している「大人の居場所」に参加して活動メンバーとなり、イベント運営のボランティアをしていると、話してくれました。就業して自立した生活を送るにはまだ時間がかかりそうですが、希望はあると信じています。

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