生活ペースも乱れ、今では昼夜逆転

最初のうちは、かつての職場の縁で仕事を回してもらいましたが、せっかくもらった仕事にもかかわらず、納期を守れず、そのために仕事依頼が尽きて収入も途絶えてしまったということです。

翔太さんはすっかり自信をなくして、以前の職場の仲間や学生時代の友人とのかかわりも避けるようになり、ひきこもりのような状態になっています。一人暮らしであったため、生活ペースも乱れ、今では昼夜逆転した状態が続いています。

もともと人づきあいがそれほど得意ではなく、それでシステムエンジニアの仕事を選んだ翔太さんです。職場や依頼者の信頼を失い、仕事そのものが途絶えてしまった今では、それまでの貯蓄を取り崩す生活が続き、残った貯蓄額も60万円ほどになってしまいました。月の支出は家賃5万円を含め13万円。無収入のままだと、数カ月でそれも底を突きます。それで私のもとを訪れたということのようです。

ひきこもりの増加とともに、社会復帰に導くためにいろいろな方策が検討されています。人と接するのが苦手な人でも、リモートワークでできるシステム開発やパソコン入力の仕事であれば問題なく働けるのではないか、と期待を寄せる向きもあります。私もこの可能性に魅力を感じ、ひきこもり問題の解決策になるのではないかと、講演会などでご紹介したことがありました。

【図表1】有効回答数に占める「広義のひきこもり群」の割合
出典=厚生労働省「ひきこもり支援施策の動向
【図表2】「広義のひきこもり群」にある方の男女別割合
出典=厚生労働省「ひきこもり支援施策の動向
【図表3】ひきこもり状態になった理由として、「新型コロナの流行」をあげた方の割合(複数回答)
出典=厚生労働省「ひきこもり支援施策の動向

「何とかしてお金をもらえないかと……」

しかし、現実にはそう簡単にはいかないようです。リモートでできるとは言っても、仕事のすべてが一人で完結するわけではなく、関係するメンバーの間でのチームワークがなければ仕事は進みません。さらに、チームのメンバーに迷惑をかけてはいけない、という意識が仕事のモチベーションになり、自分の責任をまっとうすることにつながります。「人と接するのが苦手であれば、一人でできる仕事をやればよい」という意識だけでは、任された仕事をやり遂げることは難しいようです。

「たとえ再び仕事が入ってきたとしても、また同じ状況になってしまいますね」

話を聞き終えてそう私が言うと、本人はうなだれるしかありません。

「だから、何とかしてお金をもらえないかと……」
「以前リモートワークになる前は、普通に会社に行って、普通に仕事ができたわけですよね。なんとか、かつての状態に戻れるように、やってみましょう。生活保護はそれから考えたのでも遅くはないでしょう」

コーヒーを飲みながら話をする2人の人物
写真=iStock.com/Comeback Images
※写真はイメージです

私はファイナンシャル・プランナーですので、資金計画が本職であり、ご本人の意識改善や就業支援は専門ではありません。不用意なアドバイスをするべきではないのですが、この時は私なりのアドバイスをしました。

「まずは生活の立て直しから始めてみましょう。」

私は、3つのことをするように提案しました。