「重さ」と「体積」で満腹を感じる
575kcalといえば、ご飯茶碗3杯分ほどに相当します。それを「我慢した」わけではなく、自然にカロリーが減っていた、という点が驚くべきところです。
私たちの胃は、カロリーではなく「重さ」と「体積」で満腹を感じます。水分や食物繊維をたっぷり含む食材は、胃袋の中でかさを取って満腹シグナルを出してくれます。
一方、揚げ物や菓子パンのようなエネルギー密度の高い食品は、小さな体積にカロリーが凝縮されているため、胃が「まだ足りない」と感じているうちにカロリーが積み上がります。
ただし「野菜だけ」に偏るのは禁物です。野菜はエネルギー密度が低くて優れた食材ですが、それだけではたんぱく質が不足します。
鶏むね肉・魚・豆腐・卵といったたんぱく源を必ず添えながら、野菜でかさを増やす。この組み合わせが、長続きするエネルギー密度低下の基本形です。
食べる量ではなく、食べるものの「密度」を意識するだけで、お腹は満たされながら体がじんわり変わっていきます。
今夜の夕食の主菜に、千切りキャベツ・もやし・きゅうりなど生野菜を1つかみそのまま添えてみてください。料理を作り直す必要はありません。かさが増えた分だけ食事のエネルギー密度が自然と下がります。
たんぱく質の力で食欲を抑える
「食欲を我慢する」というのは、長続きしない作戦です。意志力は消耗品で、夜になるほど力が落ちていきます。
ところが、自由に食べていいのに食欲が静まる状態を、特定の栄養素が作り出してくれることが研究によってわかっています。その栄養素がたんぱく質です。
ワシントン大学医学部のワイグルらは、19名を対象に約16週間の実験を行いました。
最初の2週間は「通常の食事(たんぱく質は総カロリーの15%)」で体重を安定させ、次の2週間は総カロリーを変えずにたんぱく質の割合だけを30%に増やした食事に切り替えました。
そして残りの12週間は、その高たんぱく食を「好きなだけ食べてよい」という条件で続けてもらいました。
自由に食べてよくなったにもかかわらず、参加者たちは自然と食べる量が減り、1日の自発的カロリー摂取量が平均441kcalも低下しました。その結果、体重は平均4.9kg、体脂肪は平均3.7kg減少しています。
食べる量を指示したわけでも、カロリーを制限したわけでもありません。ただ、たんぱく質の割合を上げただけで、体が「もういい」というシグナルを出す時間が延びたのです。

