高卒との給与差では“返済”できない実態

実は、現実は前項で述べたよりもっと厳しい。なぜなら、無利子融資は存在しないからだ。

貸与型奨学金や政策金融公庫の「国の教育ローン」は、利率は低いが、額に限度がある。したがって、大学進学費用を借入でカバーするには、民間の金融機関による教育ローンを利用せざるを得ない。その金利は2%から3%程度のものが多い。

こうしたローンで借入をした場合に、どの時点で完済できるかを調べるために、D欄の割引現在価値をE欄に示した。ここでは、割引率は3%とした。

そして、Eの累積値をF欄に示した。この場合には、累計値がプラスに転じるのは、50歳代前半だ。つまり、この時点になるまで、逸失所得を取り戻すことができない。

そして、累積値は、生涯を通じて1000万円には達しない。つまり、大学進学のために1000万円が必要であり、それを金利3%のローンで賄ったとすると、高卒との賃金差だけでは、完済できないことになる(生活費を切り詰めれば、返済できるだろう。「高卒との給与差だけでは返済できない」という意味である)。

授業料の写真
写真=iStock.com/masamasa3
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過剰に供給されている日本の大学教育

実際には70歳以上で働く人は少数なので、69歳までを見れば、大学に進学することの価値は700万円程度でしかないということになる。学歴による生涯賃金差は4500万円を超えると前述したが、それとは大きく異なる結果になってしまうわけだ。

以上の結果を見ると、複雑な気持ちにならざるを得ない。

日本では、教育に対する投資はさほど有利なものではないのだ。3%の利回りが見込まれる投資対象があれば、大学に進学せずに、それに投資をした方が有利だということになってしまう。

日本では、大学教育はその程度の価値しかないということになる。これは、大企業への就職が確実でない大学に入学した場合に、とりわけあてはまる。

つまり、日本では、大学教育が過剰に供給されていると考えることができる。

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