学歴による生涯賃金格差の推移
例えば、20~24歳階級においては、前半3年間がマイナス、後半2年間がプラスになる。C欄の数字の累積値をD欄に示す。この数字は、最初はマイナスになる。これは、大学在学中に働かなかったことによる逸失所得を表わしている。
D欄の数字は、その後は増え続け、70歳以上では、4500万円を超える。本書『学歴社会から実力社会へ AI時代の教育・雇用・評価を問い直す』で、学歴によって生涯で4000万~6000万円程度の差が生じると前述したが、ほぼそれが裏付けられるわけだ。
D欄の数字がプラスに転じるのは、40代の初めだ。仮に無利子で逸失所得分を借り入れることができるなら、高卒との賃金差で返済して、40代初めにそれを完済できることになる。
D欄の数字は、50代の初めに1000万円を超える。仮に大学に進学するための費用が1000万円であれば、これを借入で賄い、高卒との賃金格差で返済すれば、50代中頃に完済できることになる。
教育とは回収期間が極めて長い投資
大学進学に要する費用としては、まず学費がある。「国公私立大学の授業料等の推移」(文部科学省)によると、年間授業料は、国立大学で53.6万円、私立大学で93.1万円だ(2021年)。
また、親元を離れて一人暮らしをすれば、家賃や生活費がかかる。大学進学のために私立の中学高校や塾に通えば、さらに費用がかかる。こうしたことを考慮して、進学費用を1000万円と考え、かつ無利子融資を利用できると仮定すれば、50代の中頃までに、高卒との賃金差でそれを取り戻せる。
ただし、50代の中頃とは、子育ての期間も終わり、子供が大学を卒業するような時期だ。この頃まで、自分の大学進学の費用を返済できず、退職を意識するようになって、やっと完済できるということだ。
つまり、教育を投資と考えれば、それは回収期間が極めて長い投資だと言わざるを得ないのである。

