※本稿は、潮田学『「あなたのため」をやめましょう 親のエゴを手放せば子どもは動き出す』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
深夜までゲーム、学校にも行けず
ご紹介するのは、Aさんというお母さんのお話です。
Aさんのお子さんは11歳の男の子で、ゲームにのめり込んでいました。夜遅くまでゲームを続け、寝るのは深夜。朝は起きられず、学校にも行けない日が続いていました。トイレに行くことも忘れるほど夢中になり、実際間に合わなかったこともあったそうです。
そんな姿を見るたびに、Aさんは毎日のように言っていました。
「もう寝なさい!」
「ゲームやめなさい!」
「いい加減にしなさい!」
言いたくて言っているわけではない。でも、言わずにはいられない。親としては当然です。このままでは、体を壊してしまうかもしれない。このままゲーム依存になってしまったらどうしよう。ますます学校に行けなくなったらどうしよう。そんな不安が押し寄せてくるのです。
Aさんも、何とかしようと必死でした。
ゲーム機を取り上げる。Wi-Fiを切る。ルールを決める。
できることは何でも試しました。けれど、頑張れば頑張るほど、親子のバトルは増えていきました。
隠れてゲームをする。嘘をつく。言い争いになる。関係は、どんどん悪くなっていきます。
ときにはお子さんが感情を爆発させ、家の中で暴れて警察が来ることもあったそうです。Aさんは、涙ながらに私に言いました。
「もう、どうしたらいいかわかりません」
「親なんだから、何とかしなければ」
ステップ①その背景にある信念・価値観を見つける
丁寧に見ていくと、Aさんの中にはこんな思いがありました。
「親が管理しないと、この子はダメになってしまう」
「子どもがゲームをやめられないのは私の責任だ」
「親は、子どもを優先しなければならない」
これが、Aさんの中にあった信念・価値観でした。そう思うようになった背景を探っていくと、Aさんの幼少期の話が出てきました。
Aさんは、小さい頃から、ずっと親の顔色を見て生きてきたそうです。怒られないように。嫌われないように。気に入られるように。自分の気持ちは後回し。いつも、人を優先してきました。
叱られる度に、「自分が悪い」と自分を責め続けてきました。
その中で、無意識のうちに、「自分を優先してはいけない」「全ての出来事は私が悪いからそうなった」という信念を身につけていたのです。
だからこそ、子どもがゲームをしている間も、自分だけ先に寝ることができなかった。自分の時間を持つこともできなかったのでしょう。
「親なんだから、何とかしなければ」
「私が悪いからこうなってしまったんだ」
そんな思いが、Aさんをずっと駆り立てていたのです。


