石井氏によれば、このビジネスの肝は商品のメンテナンスだという。

「常に新品同様の状態を保つために、リペアには相当気を使っています」

汚れや破損があっても、よほどでない限り利用者に損害賠償は求めない。

「いままでお客様に補償をお願いしたのは紛失や盗難の場合だけ。その場合の補償額もあらかじめ決まっていて、プレミアムは3万9800円、レギュラーが2万9800円、ライトは1万9800円。それ以上はかかりません」

利用者の平均年齢は30代半ばで、主婦と会社員が半々。会員数は3000人を突破し、500点ある在庫も常にほぼ7割が貸し出し中だ。

これほど支持を集めているのは、「所有することに喜びを見出さなくなった」女性の心理の変化があるといえそうだ。実際、石井氏は男性向けに高級時計のレンタルサービスなども検討したというが、男性のほうが所有することに価値を見出す傾向があるため、導入を見送った。

「インターネットのサイトと事務所兼倉庫があれば店舗は不要。うちのように常駐スタッフ2名で、マンションの一室で開業することも可能です。ただ品数を揃えないとお客様には選ぶ楽しみがないし、レンタルという特性上、投資金額を回収するまで1年弱かかる。うちはやっと利益が出始めたところです」(石井氏)

事務所代や人件費は会員数の3000人で割るとごくわずかであり、必要費用はほぼ商品の購入代といっていい。たとえば定価20万円のバッグを切れ間なく貸し続けた場合、約10カ月で初期投資を回収できる計算だ。

実はいまブランドバッグのレンタルに、20社以上が参入している。そのほとんどがこの数カ月でサービスを開始した。商品の購入資金と、トレンドに対する目があればすぐに始められるビジネスといえそうだ。

※すべて雑誌掲載当時