AI需要に半導体生産が追いつかない

多くの投資家は、MANGOSのリスクなどを軽視、無視し、自分たちに都合の良い部分、成長のストーリーにだけ目を向ける傾向があるようだ。

まず、投資家や多くの株式アナリストが予想する成長ペースは、世界経済の実力と乖離し始めたと考えられる。代表的な分野は、半導体だ。現在、台湾積体電路製造(TSMC)、SKハイニックス、サムスン電子、マイクロンテクノロジー、キオクシアなど主要な半導体メーカーの製造ラインはフル稼働状態だ。

各社は、利益率の高いAI向けの演算装置やメモリーチップの生産を増やした。それでも供給は追い付かず価格は上昇した。6月25日の米株式市場では、アップル、マイクロソフトが、半導体調達コストの増加に対応するため値上げを発表した。収益悪化懸念から株は売られた。

家電、パソコンの分野でも、メモリーやマイコンの価格上昇から、値上げを行う企業は増えた。自動車向けのチップの供給にも、影響が出ているようだ。ある意味、AIが半導体を吸い上げ、他の産業への供給に支障をきたしている。これは持続可能な状態ではないだろう。

スペースX「宇宙AI事業」の実現可能性

次は、AI関連企業のビジネスモデルの懸念だ。スペースXは、宇宙でAIデータセンターを運営するという壮大な構想を掲げている。同社の“スターシップ(再利用型)”の場合、理論上、AIサーバーを最大100台程度運搬する能力はあるようだ。

イーロン・マスク、2025年9月21日
スペースXのCEO、イーロン・マスク(写真=Gage Skidmore/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ただ、宇宙でのエネルギー確保、データセンター建設の技術など、明確になっていない点は多い。AIの開発競争の激化を念頭に置くと、より搭載量の多い大型ロケットの開発も避けて通れない。そうした課題をどう解決し、収益の増加につなげるか不確実な要素は残る。

アンソロピックやオープンAIに関しても、AIが人類の存在を覆すという脅威にどう対応するか、必ずしも明確になっていない。アンソロピックは、AIの開発ペースを落とす考えを示唆したが、それは敵に塩を送ることになるだろう。このままだと、ターミネーターのスカイネットのような状況が世界に出現するとの懸念は高まるかもしれない。