地政学リスクも金利上昇も関係なし?
6月半ば、米国の運用会社は、メタ、アンソロピック、エヌビディア、グーグル、オープンAI、スペースXに投資する上場投資信託=ETFの申請を行った。この6社の頭文字をとって、金融市場参加者の間では、MANGOSが今後の世界経済に高成長をもたらすとの強気心理が一段と高まった。
MANGOSの中でも、オープンAI、アンソロピック、スペースXの3社は、一部の投資家が「AI三銃士」と呼ぶほど成長期待が高い。オープンAIとアンソロピックは、AI開発でトップ・オブ・ザ・ワールドを競っている。スペースXはAI開発に加え、宇宙データセンターの運営を目指している。
AIは、わたしたちの生活や業務の効率化に寄与している。中長期的にみて、データ分析などAIがもたらすベネフィットは大きい。ただ、注意が必要なのは、投資家の期待は現実よりも大きく先行していることだ。ある意味、投資家は、将来の夢を買っているといってよい。
一部の投資家は、MANGOSが地政学リスクも、政治リスクも、さらには金利の上昇を超越する成長をもたらすと思い込み始めたようだ。3社の成長は、半導体関連分野にも波及的な恩恵を与えるとの楽観も高まった。
キオクシアの株価は1年半で75倍に
AI関連分野で根拠なき熱狂が広がっている。6月、過度な強気心理の高まりから日米、韓国などの株価は急騰した。日経平均株価は7万2000円台後半まで急騰した。2024年12月、1440円で上場したキオクシアは6月22日に10万8700円に上昇した。韓国ではSKハイニックスの時価総額がサムスン電子を上回った。
米株式市場では、12日に上場を果たしたスペースX株が一時急上昇した。16日の取引時間中、時価総額はマイクロソフトを上回る2.94兆ドル(約470兆円)に増加した。メモリー半導体大手のマイクロンテクノロジーは、4月から6月下旬までの間に株価が約3倍に上昇した。
相場が過熱感を帯びると、強気になって、自己資金に加えて資金を借り入れて株を買う投資家が増える(レバレッジ投資)。わが国では、あまり株式投資をしてこなかった人まで、相場に参戦し始めた。テレビや週刊誌、評論家の御指南、周囲の株式投資熱が影響しただろう。
ただ、MANGOSの中のいくつかの企業の収益は基調として赤字だ。つまり、現実の世界では、まだ、そこまで夢が現実のものになってはいないのである。
