女子枠は男性差別? ダイバーシティ推進?
それでも、名工大のような女子枠が小規模な中堅大学に対する男性の反感は少なかったが、国立の最難関のひとつ東京科学大(約1000人中、女子枠154人)のような大規模女子枠となると、そうもいかない。実際、女子枠に反対する学生団体が結成されて、ビラ配りや署名活動が行われた。
2026年4月には、朝日新聞社による男女雇用機会均等法40年の世論調査の一部で「理工系大学の女子枠」についての意識調査が行われた。
結果は、60代以上は「納得できる」が多数派であったものの、50代以下では少数派となり、若年者ほど減るという結果だった(図表2)。進学や昇進でも我慢を強要されて反感を持つ男性が増えている可能性がある。
そもそも政府が謳うダイバーシティとは「多様性」を意味し、女性のみならず障がい者・貧困家庭・地方出身者・少数民族・LGBTQなど多様な少数派への配慮を指す。しかしながら、文科省の評価する「ダイバーシティ推進」とは事実上「女性率向上推進」に限定されているように見える。
女性の工学不人気は偏見? それとも事実?
内閣府男女共同参画局の公式YouTubeでは、「女子は数学が得意ではない」などの社会に根深いアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が、女子生徒の理工系進路選択を阻害することがある、と述べている。そうした偏見をなくし、教師や親の適切な支援すれば理工系女子は増やせる、とにおわせている形だ。
しかしながら、「鉄道写真」「休日にバイクの手入れ」「日曜大工」など、メカ好きな趣味人は男性が多く、おもちゃ売り場でミニカーやロボットで遊んでいるのは男児が多い。
高校では、数学IIIや物理を選択する女子高生は明らかに男性より少なく、機械・電気学科のような専攻希望者はさらに少ない。理系男子垂涎の京都大学工学部電気電子工学科の女子枠は2026年度の試験で定員割れしてしまった(女子枠定員7、出願5、合格1)。2024年度入試における北見工業大学、秋田大学、琉球大学などの女子枠も定員割れが報道されている。
結局のところ、女子枠は「女子学生が都市部にあるワンランク上の大学に入学」するという効果はあるものの、女子工学部生の全体数は変わらないことがうかがえる。
また、工学部の中でも「経営工学、デザイン工学、生命工学」のような“境界領域”の女子学生が増えはするが、「機械工学、電子工学」のように自動車産業や半導体産業などに直結して「日本経済の発展」に寄与できそうな分野では女子学生は増えていないのではないか。

