大学の情報公開をめぐる文科省の政策
多額の入学金や授業料を払って入学したのに、教育や学生生活の環境が予想と大きく違っていた。そんなふうに後悔しながら4年間を過ごすような事態を避けるには、大学についてなるべく正確な情報を把握しておく必要がある。しかし、大学が情報を粉飾したり隠したりしては、正確な判断などできるはずがない。
こうした問題意識から、文科省は大学に情報公開を進めさせようと、さまざまな政策を打ち出してきた。
だが、学生集めに苦労している大学などが「イメージを悪くするデータや数字が一人歩きする」などと協力せず、特にネガティブな情報の公表は進んではこなかった。こうした姿勢が、大学が社会の信頼を得られなくなってきた一因であることは否めない。
中教審は2025年2月にまとめた「知の総和答申」で、大学の情報公表に関する新たな仕組みを提言した。「大学は何をやっているかわからない」という社会の不満を和らげるためだ。
大学の情報公表の仕組みとしては、2014年から運営されている「大学ポートレート」がある。学生数や教員数、学費といった基本情報のほか、取得できる資格や外部機関による大学評価の結果といった各大学のデータを、ネット上で公開するデータベースだ。「奨学金の有無」「寮の有無」といった特色ごとに検索できる機能もある。
だが、答申は、国公立大学と私立大学とで情報を提供するプラットフォームが異なることなどを問題点として挙げ、「重要な情報が必ずしもわかりやすく示されていない」と指摘。「(一つにまとめた)新たなプラットフォーム(仮称ユニマップ)を構築する必要がある」と提言した。
「大学ポートレート」への大学の期待度
朝日新聞と河合塾が25年夏に共同で実施した「ひらく 日本の大学」調査では、このユニマップ(仮称)に対する期待度を学長に質問した。
結果は、「期待する」が8%、「ある程度期待する」が46%と、期待を示したのは半数程度だった。一方、「期待しない」は5%、「あまり期待しない」は28%と、一定数が否定的な見方を示した。
愛知県の私立大学は「ある程度期待する」としながらも、大学ポートレートの認知度が受験生や保護者の間で低いことをふまえ、文科省に対して「制度の仕組みや周知の在り方について、今後の議論を深めていただきたい」とした。
大学経営が厳しさを増すなか、入学者の確保につながると期待できるような仕組みでないのならば、なるべく人手や手間をかけたくないという姿勢が垣間見える。



