事件に巻き込まれる中国人観光客
集団暴行事件には客だけでなく、店のスタッフも加わったという。容疑者らは、被害者のほうが先に泥酔して暴れ、口論を仕掛けてきたと口を揃えている。もみ合いの中で被害者が致命傷を負ったにすぎず、自分たちは正当防衛で応じただけだと、全員が主張した。
事件後、地元行政当局がクラブに立ち入り検査を行った。有効な営業許可証を取得しておらず、そもそも無許可営業だったことが判明。
同クラブは中国人オーナーがタイ人の名義人を使って外国人所有規制を回避していたと報じられており、こうした違法営業形態がパタヤの観光地としてのイメージを損なっていると批判を受けている。クラブは閉鎖が命じられた。
日本を避けた中国人観光客は、代わりに同じアジア圏のほかの国々へと向かっている。サウスチャイナ・モーニングポストは、韓国・ベトナム・タイが人気旅行先の上位を占めると報じた。
トラベル・アンド・ツアー・ワールドはタイ旅行代理店協会のデータをもとに、2月の春節期間中にタイを訪れた中国人旅行者数が1日あたり3万人となり、通常の2倍を記録したと報じている。
しかし、タイでは中国人が巻き込まれる危険な事件が後を絶たない。昨年7月には、パタヤの路上で52歳の中国人観光客、リン・イーファン氏が事件に巻き込まれたと報じられている。
偽警察官に拉致されるケースも
リン氏は直前まで中国人の仲間2人と麺をすすったあと、ひとりになって配車アプリの車を待っていたという。
事件の経緯を伝えたタイ英字日刊紙のバンコク・ポストによると、そこへ黒いパーカーの男たちが白いSUVで乗りつけてきた。男たちは車を降りると、リン氏を車内に押し込めにかかった。リン氏の必死の抵抗も虚しく車内に引きずり込まれ、男たちはそのまま車を走らせたという。
後にリン氏は、車内で両手を後ろ手に縛られ、銃のような武器を突きつけられたと語っている。男たちはタイ語に英語が交ざった言葉を交わしていたという。
犯人らはiPhone2台、現金1万5000バーツ(約7万3800円。6月22日現在のレート、1バーツ4.92円で換算、以下同)に加え、リン氏の眼鏡を奪った。さらに中国の銀行アプリを操作させ、15万バーツ(約73万8000円)を送金させた。リン氏は総額で23万バーツ(約113万円)を超える被害を被った。
その後リン氏は、拉致現場から約9km離れた射撃場で解放され、すぐに助けを求めパタヤ市警に被害を届け出た。
犯行グループは周到だった。ネイション・タイランドによると、路上での拉致の瞬間を目撃していた人物がいた。しかし、一味が「このコールセンター詐欺犯め!」などと叫びながら拉致に及んだことで、警察による逮捕劇だと誤認。助けに入らなかったという。
白いSUVから複数の男が一斉に降り、対象者を組織的に取り押さえる様子は、傍目には私服警察官による摘発にしか見えなかった。

